西武HDなどが遊休地の活用へ、郊外のテレワーク需要を収益に
財界オンライン / 2021年9月5日 18時0分
鉄道各社が自社の遊休地などを活用して”小さな移動需要”の獲得を狙っている。
西武ホールディングス(HD)は沿線の遊休地を活用したテレワーク施設の運営を始めた。東京・練馬区にある西武新宿線の武蔵関駅に賃貸ユニットハウス「エミキューブ」を開設。もともと空き地だった場所を活用し、ユニットハウス3棟を設置。2棟は個人契約とし、残る1棟は外部委託して運営する。
「自分だけの空間」(同社)がコンセプト。西武HDの傘下で不動産開発を手掛ける西武プロパティーズは移動の自粛や在宅勤務が広がり、住宅街でも近隣住民からのテレワーク施設などの需要があることに注目した。コロナ禍でテレワークをする人が増えたものの、自宅の狭さや遮音性の不安、オン・オフの切り替えの難しさなどの課題も多い。
西武HDは西武鉄道沿線でエミキューブの2拠点目の設置を計画しており、首都圏の郊外で施設展開を進める。将来は全国のリゾート地への進出も検討し、通勤需要の落ち込みが厳しくなる中、郊外を舞台にした新たな収益源を模索する考えだ。
遊休地の活用という点では、東急電鉄が武蔵小杉(川崎市)、長津田(横浜市)両駅の定期券売り場を改装し、シェアオフィスとして開業。川崎市にある乗り物を展示する博物館を利用したシェアオフィスも期間限定で開業している。京浜急行電鉄は横浜市の自社遊休地でテレワーク用のキャンピングカーを貸し出す実験も行った。
ある鉄道会社幹部は「今後、働く場所はオフィス、自宅、その中間にあるサテライトオフィスなど3つの形態になる」と読む。サテライトオフィスでも利用者にとって自宅の最寄り駅や1~3駅の移動で済むといった具合に、需給バランスのとれる立地を選定できるかがどうかが
鉄道会社の腕の見せ所となる。
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