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ミキハウスグループ代表・木村皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第19回)

財界オンライン / 2021年9月6日 7時0分

昨日までの体験の延長線上ではダメ

「過去からの積み上げで、モノの発想をしているのはダメ。要は、10年後にどうしたいのか、20年後はどうしたいか、という考えで仕事をしていかないと」

 自分たちの経営のやり方を変革もせず、昨日までの体験の延長線上で思考していては、物事の本質を見極められないと木村は強調する。

「今日、ある取引先の社長と話をしていたら、『うちは当面インバウンドはゼロで考えるようにしています』と言うだけで、次の手がない。何を言っているんやと」

 木村は、こうした取引先社長の物言いに反撥を覚えたという。

 もちろん、コロナ危機で訪日観光客(インバウンド)は、コロナ危機が始まった2020年初めから激減。ほぼ皆無となり、ホテル業界や百貨店、化粧品・雑貨業界に深刻な打撃を与えていることは木村も承知している。

 ただ、リアルのインバウンドがゼロになったとしても、インターネット販売やその他の手法で、海外需要を取り込んでいかないと、既存の国内需要頼みでは事業そのものが尻つぼみになるということ。

そうした構造変化に、各企業はどう対応していくのか? という木村の懸念。

「日本人の経済力は落ちてきているし、お金持ちも相対的に減っている。少子化もしばらく続いていくことを考えたら、アジアの富裕層をターゲットにするのは当然ですよ」

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第17回)




アジアの富裕層をどう引きつけていくのか?

 では、海外の富裕層、特に身近なアジアの富裕層をどう引きつけていくのか?

「僕は準備していますよ。それがインバウンド需要なんです」

 しかし、訪日客がコロナ禍でほぼゼロになっているのではないかと疑問をぶつけると――。

「わたしどもの場合、本社がある大阪・八尾まで外国人の方々が買いに来てくれています。ものすごい数ですよ」と木村。

 日本在住の中国の人々が母国の知り合いから頼まれて、ミキハウスの本社までやって来て大量に商品を買っていくのだという。これら商品を購入していく人たちはいわば代理人。日本在住の中国人が購入してくれるということである。

「何ていうのか、向こうの消費者が欲しくてしようがないから、日本に住んでいる人に連絡して買ってきてもらうということだと思うんです」

 大阪・八尾市の本社には、週明け月曜日の朝ともなると、9時過ぎには駐車場もお客さんの車で一杯に埋め尽くされる。

 それは中国のお客さんの間に、ミキハウスの商品の品質が良く、自分たちの子供たちに健やかに育ってほしいと願う気持ちがあってのことである。

「この間も、午前9時前に会社に行ったら、40~50人の中国人の方々が、店が開くのを待っているんですよ。うちは9時半まで朝礼をやっているので、いつも『ちょっと待ってください』とお願いしているんです」

 これは世界一の子供服・ベビー服をつくる――という創業以来の高品質な商品づくりがコロナ危機でも地力を発揮しているということであろう。

 そして、人口減・少子化という人口構造や経済そのものの行方を見据えて、海外需要の開拓をにらんで手を打ってきたことが、コロナ危機の今、功を奏していると言っていい。

(敬称略、以下次号)

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