【金融庁】米中の覇権争いを受け「経済安全保障室」を新設へ
財界オンライン / 2021年9月14日 15時0分
金融庁は2022年度に「経済安全保障室」(仮称)を新設する方針だ。米国と中国の覇権争いを背景にした経済のデカップリング(分断)の影響が貿易だけでなく資本市場にも及ぶ中、庁内に専門部署を設け、金融市場や金融機関の経営への影響を分析したり、安全保障の観点から金融機関の取引やシステム整備を監督したりする体制を整えるのが狙いだ。
長官の中島淳一氏周辺筋は「投資規制などマネーの世界における米中分断が進めば、日本の金融機関は難しい対応を迫られるほか、相場急変などをきっかけに金融システム不安につながる恐れもある。しっかり監督していきたい」と専門部署新設の意義を強調。
日本の経済安全保障対応を巡っては従来、通商政策を所管する経済産業省や、外為法を所管する財務省主導で進められてきたが、金融庁も本格的に乗り出すことになる。
メガバンクなど大手邦銀は近年、新たな成長源と期待して中国でのビジネスを広げてきたほか、中国のIT企業に多額の投資を行うソフトバンクグループの軍資金調達を支援するなど間接的にも中国向けエクスポージャーを拡大している。
そんな中、米中のデカップリングでマネーの流れが激変すれば、大手邦銀などが思わぬ巨額損失を被り、日本の金融システムに影響が及ぶ事態も考えられる。また、米中双方による外国企業への投融資規制の強化に伴い、今後、邦銀が取引の見直しを迫られることも考えられる。
米中マネー分断の影響の分析や具体的な対策づくりを巡っては英独仏など他の主要国との連携も不可欠となる。金融庁で女性初の次官級ポストに就いた金融国際審議官の天谷知子氏を始め、国際金融担当チームの手腕も試されそうだ。
【コロナ第5波、米中対立】非常時の統治をどう進めるか?問われる経営者の『覚悟』
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