アフガニスタンでタリバン政権が誕生、米国が主導する時代の終焉
財界オンライン / 2021年9月5日 11時30分
真価問われる日本の外交政策
『米国が主導する時代』の終焉──。アフガニスタンにタリバン政権が誕生した。米国は2001年にニューヨークテロ事件『9・11』を受けて、テロ撲滅を理由にアフガン内政に介入した。しかし、その結果は米国の〝敗退〟となって現れた。
第二次世界大戦以来、世界のリーダー国として国際秩序形成に大きな手腕を発揮してきた米国。1945年の日本の敗戦に際し、米国は自国主導で日本を民主主義国に作り上げるという意気込みでGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による統治を行った。その結果、68年に日本は米国に次ぐ世界第2位の経済大国(現在は3位)になった。
しかし、20世紀後半になると、米国の思うように事態は展開しなくなった。75年のベトナム戦争では実質敗退(南北ベトナムの統一)。その後、9・11テロを受けてイスラム過激派・アルカイダ撲滅のため、イラク・フセイン政権を武力で打倒し、アフガンにも侵攻したが、結局はそのアフガンはタリバンに政権を奪い取られるという結末に。
「イラク介入のときに米国は『nation-building(国民としての一体意識の醸成を図る国民統合)』という言葉を使った。これには日本の戦後の国づくりを担ったという自負がある。それが今回のアフガン介入では使われなかったというところに米国の今の立ち位置があらわれている」と語るのは日本総合研究所会長の寺島実郎氏。
今回のアフガンでの出来事が世界秩序に与える影響は実に大きい。アフガンはイラン、パキスタン、そして中国、さらには中央アジアのタジキスタン、トルクメニスタンとも国境を接し、インドとも近い。さらにアフガンは約30年前の旧ソ連侵攻にも耐え抜き、今回は米国軍も敗退させたということで、イスラム過激派の指導国になるかもしれない。このことはイスラム圏の新疆ウイグル自治区問題を抱える中国にも影響を与えるだろう。
日本の外交政策も真価が問われるとき──。イスラム圏に影響を持つイラン、トルコは米国と犬猿の仲だが、日本は両国と良好な関係にある。こうした周辺国との関係を含めて日本の今後の舵取りが注目される。
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