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【量子コンピューター】関連産業の創出へ 東芝やトヨタが協議会設立

財界オンライン / 2021年9月8日 11時30分

『量子技術による新産業創出協議会』設立総会の様子

産業界が主体となって量子産業の創出を目指す

 

 9月1日、日本企業がお互いの技術を持ち寄り、量子技術を社会実装させるための「量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)」が設立された。世界各国で量子コンピューターの開発が加速する中、産業界が主体となって量子産業の創出を目指す。

 運営委員会の委員長には東芝社長の綱川智氏が就任。会員企業には東芝を含めて、トヨタ自動車、NEC、NTT、日立製作所、富士通、三菱ケミカルなど、24社が参画。通信技術やコンピューター開発に携わる企業だけでなく、材料やデバイス、計測技術など幅広い技術を持った企業が加わっており、今後も参画企業を募る。

 Q-STAR実行委員会委員長の島田太郎氏(東芝執行役上席常務)は「単純にコンピューターの箱ができれば何かが起こるわけではない。データとの接続やアプリケーション、材料、デバイスなどの技術も一体となって、すでに存在している技術を最大限活用し、持てる力を結集して新たな量子関連産業やビジネスの創出を目指す」と語る。

 新素材・新薬の開発や環境・食糧問題の解決など、複雑化する社会課題に対し、これまで解けなかった問題を高速で解くことができると期待される次世代計算機、量子コンピューター。1980年代頃から各国で量子力学を活用した研究が始まり、従来のコンピューターには困難な問題を高速処理できるとして注目が集まっている。

 2019年には米グーグルが既存のスーパーコンピューターで1万年かかる計算をわずか数分で完了できたとして話題になった。その後、これにはIBMが異議を唱えており、実用化にはまだ壁がありそうだが、いずれにせよ、現在は先行する米国を始め、中国など世界各国で急速に量子コンピューターの開発が進む。

 ハイテク技術を巡る米中の覇権争いは激化する一方だが、技術立国を目指す日本でもようやく”オールジャパン”体制での開発が始まろうとしている。今回の協議会設立を機に、日本の産業振興や国際競争力の強化を図ることはできるか。

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