日立建機が米ディアと合弁解消、単独での生き残りを模索
財界オンライン / 2021年9月8日 15時0分
「当社にとって北中南米での事業を自社で展開するのは長年の夢だった」と話すのは、日立建機社長の平野耕太郎氏。
2021年8月19日、日立建機は1988年から続けてきた米農業機械大手・ディア&カンパニーとの合弁事業を通じた業務提携を22年2月末で解消すると発表した。
日立建機は北中南米市場での建機販売でディアの代理店網を活用すると同時に、自社の技術をディアに供与するなど深い関係にあった。ただ近年、日立建機は新車販売から、部品交換やメンテナンス、建機を遠隔監視し故障予知を行うソリューション提供へとビジネスモデルを転換してきている。
北中南米の建機市場の世界シェアは建設機械で約40%、鉱山機械で約30 %という世界一の市場。だが、今のディアとの合弁の枠組みでは新機種を迅速に投入できなかったり、利益率の高い部品交換やソリューション提供はディアの役目となっていたため、日立建機としては見直す必要に迫られていた。
「特に南米のマイニング市場は早く我々自身で開拓したいと思っていた。今回の合弁解消は我々の今後の業績に与えるインパクトが非常に大きい」と平野氏は強調する。
課題は、代理店網など販売体制を改めて確立できるかどうか。「これまでディアの代理店として我々の機械を販売してきた店に、引き続き取り扱ってもらうよう話をしていく」(平野氏)。
親会社である日立製作所は「御三家」と呼ばれたグループ会社を売却するなど事業再編を進めてきたが、残る上場子会社は日立建機のみとなった。日立はグループに残すか、売却するかについて21年度中にも結論を出す方針。
日立建機の平野氏は「資本のことは最終的には日立製作所が決めること。北中南米市場は我々の成長戦略のど真ん中。しっかり進めることがステークホルダーへのメッセージになる」と話す。今回の合弁解消を含め、単独での生き残りを図るための模索が続く。
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