半導体不足に加え、部品調達不安も 『トヨタ』が9月の生産を約4割減
財界オンライン / 2021年9月16日 7時0分
「目の前には自動車需要の高まりという増産の機会があるのに、それに見合った生産ができない状況が続いている」と漏らすのはトヨタ自動車関係者だ。
半導体不足で自動車の生産が停止するという事態が収まりを見せない中、新たに東南アジアでの新型コロナ感染再拡大に伴う部品調達の停滞が同社に減産を強いている。トヨタは9月の世界生産について、当初計画比の約4割にあたる約36万台を減産することを決めた。
元町工場や高岡工場など国内の14工場で一部の生産を最大で22日間停止。国内で14万台、北米と中国で各8万台、欧州で4万台、アジアで8千台、その他で1万台。90万台弱を計画していた9月の生産台数は54万台に留まる見込みだ。
ただ、2022年3月期通期の計画としては、当初掲げた生産台数の930万台や営業利益2兆5000億円などの数値予想は据え置く。コロナ禍で生産や販売面で正常な活動ができないことなど「様々なリスクが起こり得ることを念頭においていた」(同)ことが背景にある。
トヨタは半導体不足では影響を最小限に抑えていた。東日本大震災を教訓として構築したサプライチェーン情報データベース「レスキュー」を活用し、情報把握までの期間を短縮したり、供給が滞る可能性があれば、すぐに代替生産を手配できる体制を整えてきたからだ。
しかし、東南アジアで起こった部品調達は毛色が違う。例えばベトナムでは従業員が工場で寝泊まりする「工場隔離」が義務付けられ、出社数も通常時の約3割程度。「予期せぬ出来事」(他社関係者)が続いている。
調達に後れが出ている部品の詳細は明らかになっていないが、タイやベトナムで生産されている電装部品同士をつなぐワイヤーハーネス(組み電線)が特に影響を受けている模様。電線を束ねる作業の自動化は難しく、人の手に頼る部分が大きい。
そのワイヤーハーネスを調達する工場で集団感染が発生し、一時的な閉鎖命令を受けた影響が出ている。他にもマレーシアではロックダウン(都市封鎖)の影響で生産が滞っている。
「ヒトやモノも動かせず、ビジネスができない」(同)という状況がしばらく続く見通し。米国や中国を中心に販売動向は堅調に推移している中、いかに1台1台を売ることができるか。トヨタの知恵が試される。
過去最高の四半期決算を達成 慎重姿勢を崩さない『トヨタ』
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