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SBIが新生銀行にTOB、経営陣の刷新を要求

財界オンライン / 2021年9月23日 15時0分

北尾吉孝・SBIホールディングス社長

新生銀は公的資金が弱みに
 SBIホールディングス(北尾吉孝社長)が新生銀行にTOB(株式公開買い付け)を仕掛けた。株式の2割弱を握る大株主だが、1100億円強を投じ、TOB発表前の株価に4割近いプレミアムを付けた1株2000円で買い増し、議決権比率を48%まで高める計画。

 加えて経営刷新を要求。会長に元金融庁長官の五味廣文氏、社長にSBIHD副社長の川島克哉氏を送り込む案を公表した。金融庁が容認姿勢を示しており、新生銀株には買い注文が殺到。だが、新生銀側は反発、敵対的TOBに発展する可能性もある。

 SBIと新生銀は地方創生ビジネスで協業していたが、今年1月、新生銀がマネックス証券と提携して以降、関係が悪化。

 SBIはその後、新生銀株を銀行法の主要株主規制に抵触しない範囲の20%未満ギリギリまで市場で買い増し、株主総会では複数の取締役選任議案に反対票を投じた。さらに今春から北尾氏は銀行法の主要株主規制をクリアするために金融庁と交渉、9月9日には認可を得た。

 金融庁が今回のTOBを容認するのは、新生銀に残る公的資金の返済のメドが立たないから。5000億円の公的資金が投入されたが、今も3500億円が残り、完済が見えない状況。

 新生銀は抜本的なビジネスモデルの転換が必要で、金融庁はSBIにそれを期待した形。SBIは新生銀を「第4のメガバンク構想」の中核にする考え。

 今後の焦点は、新生銀の出方。経営陣は6月の株主総会以降、複数の企業と資本提携について協議してきたというが、成果は得られていない。

 投資ファンドの協力を得る手も考えられるが、20%以上の出資には銀行法上の認可が必要で、金融庁が首を縦に振るとは思えない。米リップルウッドや米JCフラワーズなどファンド傘下で再建を目指しながら、成果をあげられなかった経緯もある。

 買収防止策の導入も株主総会の議決なしに行えば、裁判所から差し止め命令を受けるリスクがある。市場関係者は「SBI傘下入りを拒否するなら、独自の企業価値向上策を提示する必要がある」と厳しい見方を示しており、新生銀の外堀は埋められつつあるようだ。

【関連記事】SBIホールディングス・北尾吉孝社長が語るデジタル金融、地銀再編の姿とは?

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