【ホンダ】レベル4を視野にGMと自動運転の実験公道走行
財界オンライン / 2021年9月30日 7時0分
ホンダが米GMとの連携を深化させている。
既にクルマづくりでは、北米向けの電気自動車(EV)における共同開発と部品などの共通化を進めているが、新たに自動運転でも進める。
ホンダは中小型EV用に「eアーキテクチャー」と呼ぶプラットホーム(車台)を開発中で、2020年代後半に同車台を採用してEVを北米市場に投入する。クルマの基本構造を決める車台を両社で共通化することで1車種当たり数百億円かかるとも言われる「EVの開発費の抑制を図る」という考えだ。
ホンダのGMとの連携策はクルマづくりに留まらない。9月中にはGMの子会社・GMクルーズホールディングスと協働で、自動運転に関する技術実証を初めて栃木県で実施する。まずは自動運転向けの高精度地図を作成し、22年からGMクルーズの自動運転車両を使って公道走行にも乗り出す構えだ。
ホンダが出資するGMクルーズは自動運転技術で世界でもトップクラスの実績を誇る。20年に米・カリフォルニア州において年間120万キロ超の自動運転による公道走行を行っている。トヨタ自動車が出資する米自動運転技術開発企業よりも距離数は長いだけに、その点ではホンダが一歩先を行く。
「GMクルーズはグーグル系と並び、自動運転の領域で世界トップクラスの技術力を誇っている。18年にGMと提携するまで自動運転の技術開発にそこまでの時間と労力を割いてこなかったホンダにとって、シナジー効果は大きい」(アナリスト)
ホンダ自身は高速道路など一定の条件下で自動運転が可能で、緊急時にはドライバーが運転する「レベル3」の機能を搭載した車両を国内メーカーでいち早く投入した。他社幹部は「自動運転の分野で先駆けることによって先進的なイメージを打ち出している」とホンダを分析する。
同社は今回の提携を通じて緊急時も含めてシステムが運転を担う「レベル4」の実現を目指す。バスなどのドライバー不足や交通弱者の増加など、既存の交通サービスが抱える課題を解決し、「生活の可能性が拡がる」(同社)ようにするのが狙いだ。
GMクルーズも元々はベンチャー企業。それをGMが買収したという経緯だ。日産自動車もグーグル系と協業している。自動運転では技術力のあるITベンチャー企業との連携が今後の趨勢を決めることになりそうだ。
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