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ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第22回)

財界オンライン / 2021年10月10日 11時30分

大阪・八尾の同じよしみで…

「僕の友達で、松下幸之助さんがつくられたPHP研究所に入ったのがいましてね。僕が八尾で創業してしばらくして、『八尾の出身で面白い奴がおるで』と言って紹介してもらったんです」

 一柳(いちりゅう)良雄との出会いについて、木村はこう切り出した。一柳との初めての出会いは、木村が八尾で起業して5年が経った時だった。

 一柳良雄。1946年(昭和21年)1月3日生まれ。68年東京大学教養学科国際関係論分科を卒業し、通商産業省(現・経済産業省)に入省。

 73年ハーバード大学ケネディースクールを卒業し、70年代後半に国際エネルギー機関(IEA・パリ)に出向し、省エネルギー課長をつとめるなど、国際問題やエネルギー情勢に精通した官僚として頭角を現した。

 若き頃、当時の通産大臣をつとめた宮澤喜一、田中角栄(共に後の首相)両氏の秘書官をつとめた。また、村田敬次郎・通産大臣の秘書官をつとめた後、93年近畿通商産業局長、96年総務審議官を歴任して、98年に通商産業省退官という足取り。

 第一印象はどうだったのか?

「なかなか好印象で、歯切れもいいしね。話もポイントをついて、引き付けられましたよ」

 木村は、一柳との出会いの最初の印象をこう語る。何よりざっくばらんな語り口に、柔らかな物腰で、「役人らしからぬ人だな」という感じを受けたと述懐。

 木村の本業・アパレルは消費者と直接、相対するわけで、行政の許認可を得て仕事を進めるような業種ではない。

「役人に頼むことは何もないんですよ。でも、この人なら、何でも話しができそうだなと」

 以来、一柳と木村との間で、貸し借りの一切ない関係が続く。

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第21回)



人材を輩出する河内の風土

 八尾は大阪・河内(かわち)平野の中核的な場所。河内といえば、生きが良くて、一本気な土地柄として知られる。

 作家・司馬遼太郎(1923年―1996年)も、そうした風土や人情をこよなく愛し、人気作家となった後も、中河内の布施(ふせ)市(現・東大阪市)に居を定めている。

 布施からは、政治家の塩川正十郎(1921年―2015年)も生まれている。塩川は財務大臣や文部大臣(現・文部科学大臣)、運輸大臣(現・国土交通大臣)などを歴任。一本骨を通しながらも、時にトボケたりして、『塩爺』の愛称で親しまれた。

 話を一柳に戻そう。一柳は1998年の通商産業省退官後、2000年に一柳アソシエイツの代表取締役&CEO(最高経営)に就任。埼玉大学大学院の経済科学研究科客員教授やテレビ・ラジオのキャスターをつとめ、ベンチャー支援の仕事に携わったりしてきた。

 そして、2008年、経営者を育てる『一流塾』を開設。

「毎年50人の現役社長や役員をつとめている若き経営リーダーを集めて、1年間みっちり塾で鍛えているんです。1年ごとに塾生は入れ替わりますが、上場企業の会長、社長もOBにいますよ」と、木村も一流の塾運営の手腕を評価する。

 通産省関係でいえば、作家の堺屋太一(1935年―2019年)も元通産官僚。小説『団塊の世代』や『峠の群像』、『秀吉 夢を超えた男』などで話題を呼んだ。”知価社会”(情報化社会)の到来を早くから啓発し、首都機能移転などの提言は、世の中に大きな影響を与えた。

 2019年に亡くなる直前まで、『財界』誌でも連載を続けてくれた人である。

「堺屋さんは関西の経営者の集まりで、よく話をしてもらいました。通産省の若手官僚の時は大阪万国博覧会(1970年)を企画したり、最後は『日本維新の会』の結成にも、大きな影響を与えたり、常に時代の先を読む力のある人でしたし、自ら時代を動かす人でした」

 木村は堺屋との思い出についてこう語り、「何より大阪を心の底から愛する人でしたね」と堺屋の人となりを述懐する。

 言ってみれば、木村も、一柳も、堺屋も、常に世界に目を見開き続ける者同士。人と人の信頼こそが、世の人々を前向きにする。

(敬称略、以下次号)

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第20回)

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