三菱UFJが問われる次の一手、米地銀個人部門を売却
財界オンライン / 2021年10月15日 11時30分
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が傘下の米地銀「MUFGユニオンバンク」のリテール部門を米地銀最大手、USバンコープ(本社・ミネソタ州)に売却する。
前身の旧三菱銀行と旧東京銀行が1970~80年代にそれぞれ買収した米地銀を統合したユニオンバンクは総資産1330億ドルで邦銀傘下としては米州最大規模を誇り、米国で唯一、リテール事業を展開してきた。
MUFGの発表によると、ユニオンバンクのリテール部門売却の対価のうち約2750億円分はバンコープ株式(約2・9%)で受け取り、業務提携を検討する。残るホールセール(大企業取引)部門などは三菱UFJ銀行米国支店などに移管する。
MUFGにとってユニオンバンクは投資銀行大手、モルガン・スタンレーと並ぶ米国戦略の柱だった。しかし、近年は金融のデジタル化の荒波にさらされて米西海岸に約300カ所展開する実店舗が重荷となり、収益が先細っていた。
17年以降、ネットバンキングサービスを充実させるなど経営効率化を試みたが、低金利の長期化で思うように収益を回復できなかった。さらに資金洗浄(マネーロンダリング)対策など規制対応コストも増す一方で人材面の手当ても重い負担だった。
今後問われるのは社長の亀澤宏規氏が掲げる「金融プラットフォーマー」戦略の実現。近年、東南アジア配車最大手・グラブへの出資、国内携帯電話最大手のNTTドコモとフィンテック分野で包括提携を進め、スマートフォン金融での巻き返しを図る。
だが、来年には「本家プラットフォーマー」、米グーグルが日本のスマホ金融市場に本格参入する予定で、デジタル金融の覇権争いは激化の一途。収益事業をいかに早く創出できるか。「虎の子」だった米国事業の一部まで手放した以上、その手腕が一層厳しく問われることになる。
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