「人手不足」倒産がハイペースで続く、2023年度は過去最多の可能性も 東京商工リサーチ
財経新聞 / 2024年3月26日 11時34分
東京商工リサーチが2024年1~2月における「人手不足」関連倒産の状況を発表。新型コロナの鎮静化による業界の活性化やインバウンド需要の回復により、サービス業などを中心に人手不足に陥っている企業の倒産が増えていることが分かった。
■毎月10件超えの高い倒産ペースが続く
22日、東京商工リサーチが2024年1~2月における「人手不足」関連倒産の状況を発表した。1月と2月に発生した人手不足に関連する倒産件数はともに12件となり、2023年2月以降13カ月連続で10件超えの高い水準での倒産件数が続いている。また2023年度(23年4月~24年2月)の累計倒産件数は150件となり、前年度同期比約2.2倍に大きく増加。これまで年度別で最多だったのは2019年度の160件。23年度は月平均13.6件であることから、年度ベースで過去最多を更新する可能性が高くなっている。
■「人件費高騰」型の倒産が急増
23年度の150件における倒産の要因では、「求人難」が最も多く59件、次いで「人件費高騰」が52件、「従業員退職」が39件となっている。倒産件数の多かった19年度(160件)は、「求人難」が73件、「従業員退職」が51件、「人件費高騰」が36件だった。要因として全体に占める割合で「求人難」が最も多い状況は変わらないものの、割合そのものは減少(19年度:45.6%->23年度:39.3%、以下同じ)。「人件費高騰」が増加(22.5%->34.7%)、「従業員退職」は減少(31.9%->26.0%)している。
大手企業と中小企業、輸出企業と内需企業で賃上げ状況の格差が生じていることから、賃上げを含めた従業員の待遇改善が進まない企業では、今後も人手不足がより深刻になると予想される。
■景気回復によりサービス業他で人出不足に
1~2月における倒産の24件を業種別で見ると、サービス業他が9件で最も多かった。サービス業他の中では飲食業が3件、教育・学習業が2件、医療・福祉事業が2件、宿泊業が1件となっており、新型コロナの鎮静化による業界全体の活性化やインバウンドの回復に伴い人手不足が増加している。他の業種では、建設業が5件、製造業が3件、運輸業と情報通信業が各2件、農・林・漁・鉱業、卸売業、小売業が各1件。金融・保険業と不動産業の倒産は無かった。
倒産の形態別では「破産」が23件で全体に締める割合は95.83%と大半を占めている。その他の形態では、私的倒産の「取引停止処分」が1件となっており、金融更生法や民事再生法などの「再建型」は4年連続でゼロだった。
「破産」が多い原因として、人手不足へ至るまでに業績低迷による資金繰りが悪化し従業員の待遇改善に割く資金余力の無い状況があるためで、この傾向は今後も続くと考えられる。
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