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宇宙でDNAやRNA誕生の元になった分子生成機構を解明 ハワイ大の研究

財経新聞 / 2024年5月18日 9時24分

 地球で生命がどのようにして誕生したのかは最大の謎で、DNAやRNAのような非常に複雑な有機化合物が偶然地球上で合成される確率は、0に近い。だが現在、我々人類を代表とする地球生命がこのように繁栄している事実は、地球が理論上確率0の事象を起こして見せたことを物語っている。

 生命誕生のシナリオの何もかもが、地球だけで起こった奇跡の連続だったのか、それとも、この広い宇宙全体を見渡せば、実はこのような複雑な有機化合物が生成されることは、ありふれたことなのか。このような視点で考えてみると、最先端の研究成果からは、実は後者の意見が正しいと言えそうなのだ。

 ハワイ大学の研究者らは、DNAやRNAを構成する基本的な分子である芳香族分子が、宇宙空間における星間ガスや地球誕生初期の状態に近い窒素とメタンに富んだ大気中で、どのように合成されるのかを解明したと発表した。研究成果は、「Nature Astronomy」に掲載されている。

 芳香族分子は、分子構造にベンゼン環を有する有機化合物分子だ。今回の解明は、メチレンアミドゲン(H2CN・)およびシアノメチル(H2CCN・)分子ビーム研究と、電子構造計算により行われた。

 DNAおよびRNA窒素塩基の重要な前駆体と見なされる分子構造は、地球外環境で約300種が同定されている。だがいずれも炭素、水素をベースとした有機化合物に窒素が加わった分子構造で、それらの有機化合物によりどのようにして窒素が結合されたのかは謎に包まれていた。

 おうし座の星がない領域には、有機化合物に富んだ分子雲が存在する。今回の研究では、その分子雲の環境を実験室的に再現し、様々な検証が試みられた。またそれに加えて、地球誕生初期の待機状態に近いと考えられている、土星最大の衛星タイタンの大気を再現した検証も試みられた。

 これらの環境では、炭化水素分子と窒素分子が豊富に存在すると考えられているが、それらが化合して、DNAやRNAの元となる分子にどのようにして成長してゆくのかが謎であった。だがピリジン(C5H5N)、ピリジニル(C5H4N・)およびイソキノリン(C9H7N)の生成機構を解明したという。

 今回の研究により、宇宙ではDNAやRNAの元となる有機化合物が生成されることは比較的ありふれたことであることが確かめられた。だがそこから、より複雑なDNAやRNAがいかに生成されていったかは謎のままで、今後の研究が期待される。

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