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米MSが公表した革新的パソコンの縁の下に英アーム、陰にチラつくソフトバンクGの思惑!

財経新聞 / 2024年5月28日 15時41分

 20日、米マイクロソフトがシアトルの本社で行なったイベントで公表した情報が、興味深い。短い言葉で表現すると、「生成AI(人工知能)が最適に稼働するパソコンを開発した」というものだ。

 そのパソコンには独自のAI機能が備わり、「インターネットに接続しなくても40カ国超の言語を(画面上で)リアルタイムに翻訳する」という。この機能はパソコンに備えた高性能半導体がAIを動かす「エッジAI」という技術を使って可能になった。AIの機能を「翻訳」に絞り込むことで、通信というステップを抜きにしてAI機能を引き出すことに成功した。

 従来の対話型AI(Chat GTP)はネット回線を通してデータ交換を行なうので、ワンテンポ遅れる反応にストレスを感じる向きは多かっただろうし、通信環境次第(ネットが繋がらない)では、そもそも利用することができない。

 この最先端パソコンにはネットや文章を閲覧した履歴を瞬時に検索する機能や、手書きの(お粗末な)絵を(見栄えの良い)イラストに自動変換する機能も備えられたが、何と言っても注目ポイントは自己完結型の「翻訳機能」だろう。

 革新とも言える機能を実現した背景には、米インテルの技術で動かしていた中央演算処理装置(CPU)を、米クアルコムに変換したことが挙げられる。

 マイクロソフトとインテルはウィンドウズを絡めて「ウインテル」と言われたほどの強力なタッグを組んできたことで有名だった。今回その関係を見直したことになるが、クアルコムがスマートフォンに強いことに加えて、スマホの回路設計で圧倒的なシェアを誇る英アームも関わっていることが注目されている。

 省エネ性能に優れた回路設計で定評のあるアームが、革新的なパソコンに回路を提供することの意味合いは大きい。スマホ筐体(きょうたい)内の極めて限られたスペースを、極限まで活用してきたアームの実績を考えれば、パソコンは思うがままにイメージを実現できる「舞台」だろう。

 その成果は、1日中駆動してもバッテリーが電欠を起こさないという省エネの実現にある。今後急速に進展する社会の電脳化によって、電力消費は爆発的に増加することが予想されている。これに対して供給は、再生可能エネルギーや原子力及び従来型発電にはそれぞれ長所と弱点が入り混じり、需要の増加を賄うだけの供給は望めないというのが大方の見方だ。

 直面する隘路を乗り越える奥の手は省エネ性能の向上だから、アームが本領を発揮する舞台が用意されたようなものだ。

 「SBGは投資会社だ」と宣言してきたソフトパンクグループ(SBG)が、13日の決算会見で「今後は人工知能(AI)分野をリードする企業として大きく変身する」と宣言したのは、長い間水面下で進められてきたマイクロソフトとクアルコム、アームによる革新的なパソコンの開発を、すぐ側で見つめていたという伏線があってのことだ。

 アームが第2のアリババになると確信した(だろう)孫正義会長兼社長が6月に開催されるSBGの株主総会で、「今後のSBGの姿」を強くアピールする筈だ。

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