小惑星アロコスにRNA類似物質が存在か? ハワイ大らの研究
財経新聞 / 2024年6月7日 16時34分
小惑星アロコスは、大きさが31kmの雪だるまのような形をした小惑星で、2014年にハッブル宇宙望遠鏡により発見された。2019年にNASAの探査機ニューホライズンズがカイパーベルトを航行中に接近し、詳細な観測データを人類に初めてもたらした。
雪だるまのような形状は、直径19kmと直径14kmの2つの天体が合体したもので、愛嬌のあるものだ。ハワイ大学は、この星が示す表面の赤みがかった色は、RNAの分子構造にもよく似た糖質が存在するためであるとの見解を発表した。
今回の研究では、アロコス表面の色がもたらされるプロセスを、実験室的にシミュレーションし、その色を最も忠実に再現できる条件を見出すことに成功。その物質の特定にこぎつけた。
ニューホライズンズによる観測結果から、アロコスの表面は凍結したメタノールで覆われていることが判明している。今回の研究では、約18億年間にわたりアロコス表面の物質が宇宙の様々な方向からやってくる宇宙線の被ばくを受け、どのような変化を遂げてきたのかシミュレーションを実施した。その結果、宇宙線の被ばくの繰り返しによって凍結したメタノールが、様々なタイプの糖質分子に変化する可能性を見出した。
またメタノール分子の宇宙線による被ばくのされ方について、様々なパターンを試み、アロコスの色を最も忠実に再現できる条件を見出した。この試行によりもたらされた糖質には、地球上のRNAで見つかったものと本質的に類似するものもあったことも明かされている。
つまり、地球上でアロコスで起こったことと同様のことが起こり、それによって生命誕生の元になるRNAがもたらされた可能性が示唆されたのだ。
アロコスは2つの天体が衝突してできたのではなく、緩やかに接近してゆっくりと合体してできたものと考えられているが、このような成り立ちの天体は非常に珍しい。人類は太陽系のことならなんでも理解していると考えがちだが、まだまだ得体の知れない存在もたくさんあるのかもしれない。そしてそれらの天体に、生命誕生のヒントが隠されているかもしれないのだ。
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