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株価を意識した経営を掲げる西華産業に、中長期投資の魅力を覚える

財経新聞 / 2024年6月12日 16時39分

 1時間余り、西華産業(東証プライム)の櫻井昭彦社長から話を伺う機会を得た。強く印象に残ったのは掲げている『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について』とする、具体例だった。

 結果から記すと「対応」を執って以降、総株主数は約35%増えた。売買高は96.5%増えたという。実際にどんな施策を実行したのか。聞いた範囲の策を記すと、こんな按配だ。

(I)株主還元策の基軸を「配当性向」から「総還元方向」に変更。水準は45%を目途とする。周知のとおり総還元性向は(配当金総額+自社株買い総額)÷当該期の純利益で算出する。ちなみに過去最高の営業利益:55億8000万円を計上した前2024年3月期の配当性向は40.3%、今3月期も30円増配(180円)/40.2%。加えて今後も自社株買いを積極的に進めていくという宣言、という次第だ。

(II)株主優待制度を導入(単元株保有者1000円分/300株:2000円分/500株:3000円分のQUOカード)し、新たな株主を呼び込み売買取引の活性化を目指す。

(III)政策保有株式の縮減。2024年度末までに連結純資産の20%を下回る水準を目指す。将来的には10%までの縮減を検討。

(IV)ROEの目標値8.0%台維持を10%に上方修正する(前期実績:11.6%)。PDCAサイクル(収益目標や業務改善目標)を迅速化するための組織体制を整備する。

(V)財務の健全性を維持しつつ強いBSを活かし、100億円規模の成長投資を実行する。具体策は目下、鋭意検討中。

(VI)IR活動の強化。個人投資家向けの会社説明会を年間6回開催。IR面談の強化/23年4月期6件、前期24件。アナリストレポートの公開。

 西華産業の事業は前3月期で、「エネルギー事業:売上高297億円・セグメント利益19.8億円」「産業機械事業:276億円・1.5億円」「プロダクト事業:294.7億円・33.3億円」の3つのカテゴリーで構成されている。売上高はほぼ同額。利益では産業機械部門の低さが目につく。産業機械の中身は「繊維、フィルム、食品・飲料向け」など。

 櫻井氏は「伸びしろのある部門」とし、「企業の活動が勢いを回復しつつあり、設備投資の動きが立ち直ってきている。競争状況に向かっている。となると工場プロセスの自動化・省人化、AIやロボットなどを活用した遠隔監視、廃材・廃液活用のCO2回収設備が、企業間の優劣を決めるポイントとして浮上してくるからだ」。前向きな姿勢を強調した。

 そして「エネルギー事業は三菱重工向けを礎に、例えば火力・原発向けインフラの拡充、広範な分野での需要増を享受できる状態にある。プロダクト事業も船舶用エンジンなどのM&Aも活かした充実や、UTドローンによるプラントの設備点検など事業環境の優位性を認識している」と、表現は陳腐だが「立て板に水」だった。

 取材日の終値は3935円、予想税引き後配当利回り3.60%。がインカム狙いより過去10年間の調整済み株価パフォーマンス2.73倍を知ると、中長期投資にも魅力を覚えるが・・・

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