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相場展望6月13日号 米国株: FRBは金利据え置きを年内は続けると見込む 日本株: 日経平均は堅調に推移、しかし軟調な地合いに注目

財経新聞 / 2024年6月13日 10時39分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/10、NYダウ+69ドル高、38,868ドル  2)6/11、NYダウ▲120ドル安、38,747ドル  3)6/12、NYダウ▲35ドル安、38,712ドル

●2.米国株:FRBは政策金利据え置きを年内は続けると見込む

 1)FRBは利下げ急がず金利据え置き予想、経済と物価の動向データを見極めるため   ・5月米消費者物価指数(CPI)は+3.3%と市場予想+3.4%から下回るが、FRB目標+2%からは程遠い。加えて、労働市場が底堅く推移している。したがって、FRBが現段階では利下げに動く可能性は低い。   ・なお、CPIを受け米株式市場では6/12、利下げ観測が高まりNYダウは買い優勢。   ・欧州連銀(ECB)は利下げ「極めて緩慢」に進める必要と、デギンドス副総裁の発言にもあるように、米FRB高官発言と同調していることに着目したい。

 2)FRBの利下げは「年内はなし」が濃厚   ・特に、11月の米大統領選挙前はない。    理由     ・FRBが判断できる、利下げが妥当とのデータが集められない。     ・FRBは、政治的な思惑に巻き込まれたくない、中立でありたい。     ・米経済は底堅い。     ・労働条件は逼迫の範囲内で推移すると思われる。     ・米株式市場は好調であり、FRBの支援を必要とする状況にない。

 3)米FRBは6/12、FOMCで「政策金利は据え置き」を決定   ・これで、FOMCで7会合連続の据え置きとなる。   ・FRBが重要視するインフレ指標のコア個人消費支出(PCE)見通しが2025年末で+2.2%とある。この点からも、年内の利下げはない、と予想する。   ・失業率も現在は4.0%であり、2025年末でも4.2%を見込んでいる。この程度の失業率では、経済は堅調に推移する範囲内である。   ・利下げ時期は2025年以降とみる。

 4)5月CPIの発表を受け、米金利は低下   ・米金利の推移     6/1    6/10   6/11    6/12     米債券2年利回り  4.808%  4.880   4.834    4.756     米債券10年利回り  4.388%  4.467   4.404    4.318   ・「利下げ期待」の高まりで、米金利は低下したと思われる。やがて、「利下げ観測の後退」で金利は反転上昇するとみる。

 5)米株式市場でアップルが時価総額で首位に返り咲き(6/12午前時点)   ・アップルは6/10、音声アシスタントなどのアプリに生成AI(人工知能)技術「アップルインテリジェンス」を導入すると発表した。   ・アップルの株価は、6/11に+7%、6/12に+4.15%高。   ・株式市場で評価され、211.7ドルとなり時価総額が3兆2,500億ドル。               時価総額     年初からの上昇率      アップル     3兆2,500億ドル   + 10%高      マイクロソフト  3兆2,400億ドル   + 16%高      エヌビディア   3兆0,600億ドル   + 144%高    ・米ハイテク株は堅調に推移するとみる。

3.5月米消費者物価指数(CPI)は+3.3%、予想下回る、FRBは金利据え置きへ(時事通信)  1)変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同期比+3.4%上昇。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/10、「端午節」のため休場  2)6/11、上海総合▲23安、3,028  3)6/12、上海総合+9高、3,037

●2.欧州連合(EU)6/12、中国製EVの関税を既存の10%に上乗せ、最大48.1%に(共同通信)

 1)関税は過剰な補助金への対抗策という。(ロイター)  2)米政府も先月半ばに、中国製EVの関税を4倍の+100%に引上げると発表している。  3)EV市場では世界2位の欧州で、中国製EVがシェアを急拡大している。(朝日新聞)   仏コンサルティング会社イノベブによると、欧州での中国ブランドのEV(乗用車)の販売台数は2023年が約14.3万台で前年の2.4倍、販売シェアも4.0%から7.5%にほぼ倍増した。

●3.中国、5月消費者物価指数は前年比+0.3%上昇、生産者物価指数は▲1.4%下落(ロイター)

 1)基調的なトレンドは、政府が内需喚起や景気支援に向け一段の措置を講じる必要があることを示した。

●4.中国の住宅在庫買取制度、デベロッペー支援効果期待できず(ロイターより抜粋

 1)中国政府は5月に、地方政府が住宅在庫を買い取り、低所得者向けの住宅に転換する措置を打ち出した。しかし、規模が小さく、価格が抑えられる可能性があり、資金繰りに窮する不動産デベロッペーの支援にはつながりそうもない。

 2)政府は、危機に瀕した不動産セクターを支えるため、住宅在庫買い取り資金として3,000億元(6兆4,865億円)を貸し出す制度を発表した。銀行は、これを利用して計5,000億元を低利で地方の国有企業(SOE)に融資し、SOEは売れ残っている完成物件を「妥当な価格」で買い取って低所得者向け住宅に転換することが期待されている。

 3)しかし、民間デベロッペーは、自社のプロジェクトが融資の対象に選ばれる可能性はほとんどないと考えている。貸出制度の規模が不十分なうえ、住宅が入手可能な大きい都市でしか実施されない見通しだからだ。しかも、SOEが提示する価格も、非常に低くなりそうだという。

 4)政府が過去2年間に次々と打ち出した措置は、不動産セクターの回復につながっていない。

●5.上海・深圳証券取引所は6/7、高頻度取引業者から追加手数料を徴収へ(ロイター)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/10、日経平均+354円高、39,038円   2)6/11、日経平均+96円高、39,134円   3)6/12、日経平均▲258円安、38,876円 

●2.日本株 : 日経平均は堅調に推移しているが、軟調な地合いに注目したい

 1)米国の早期利下げ観測の後退⇒円相場は米時間6/12に大きく円高に振れる   ・円相場の推移(日本時間) 6/3   6/7   6/11   6/12  米時間      円・米ドル     157.27円 155.22  157.26  157.26  156.87   ・6/13は円高を受けて輸出関連株は逆風、米ハイテク株高を受けて半導体関連株は上昇と予想。

 2)SQを控え、短期筋の海外投資家による株価先物買いの影響で瞬間の上昇がある   ・今週6/14は、6月限の先物の特別清算(SQ)がある。   ・このSQを前に、今週は短期筋の海外投資家による思惑的な動きが顕著に出るのが特徴。    ・日経平均の推移   6/10   6/11       日経平均   +354円高 +96円   ・SQ後は、思惑で株高となった分は削げ落ちることになる。したがって、6/14前後以降の日経平均は慎重に臨みたい。

 3)新興株6/12、金利低下を受け続伸   ・金利低下で相対的な割高感が薄まり、新興株に買いが入った。   ・日本長期金利の推移  6/3   6/10   6/11   6/12      10年債利回り  1.049%  1.037   1.024   0.995

 4)薄商いが続き、今の株価は薄氷の上にある   ・東証売買の推移   6/3     6/11     6/12     売買金額   4兆1,313億円  3兆5,422   3兆3,653     出来高    15億7,604万株 13億7,719   15億0,127

 5)ストキャスティクスは70を超え、買われ過ぎを示唆   ・ストキャスティクスの推移 6/3   6/11   6/12      FAST         51    83    82        SLOW         37    76    81

 6)「空売り」比率が低水準にもかかわらず、日経平均が下落   ・「空売り」比率も、低く、6/12には39.9の低水準にも関らず日経平均が▲258円安となったことが特徴的出来事。

 7)株式市場の軟調さに注目したい。

●3.国内企業物価5月は前年比+2.4%上昇、39カ月連続で2023年8月以来の伸び(ロイター)

●4.5月の景気ウオッチャー調査、3カ月連続で前月を下回る、物価上昇で(NHK)

 1)景気の現状を示す指数が45.7(5月)となり、4月から▲1.7下回った。  2)調査の中での声   ・電気料金の値上げや物価の高騰によって、日々の生活で必要なモノだけ購入するケースが多くなり、販売量が減少している。   ・製品の価格を上げてこれからというときに、また原材料価格が上昇していて、値上げが追い付かない。

●5.個人消費は持ち直しに向かうと期待、定額減税の効果などで=林・官房長官(ロイター)

 1)5月景気ウオッチャー調査の結果を受け、質問に答えた。

●6.「長期プライムレート」を銀行3行が引上げ、長期金利の上昇を受け(NHK)

 1)「長期プライムレート」は大企業向けの融資などの基準となる金利で、みずほ銀行は6/11から+0.10%引上げて年1.80%にすると発表した。引上げは2カ月連続で、2009年11月以来、14年7カ月ぶりの水準となる。  2)SBI新生銀行、あおぞら銀行も6/11から+0.10%引上げて年1.80%にする。

●7.5月の負債10百万円超の倒産件数1,016件、前年同月比+46%増、12年ぶり高水準(NHK)

 1)政府のコロナ禍の支援策が終了に向かう中、事業の継続を断念するケースが増加している。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2871 ニチレイ    デフレ時の販売増に期待  ・6367 ダイキン    中国、アジアでの猛暑による販売増期待

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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