ミーム株再ブーム不発にみる米国株の現在地
財経新聞 / 2024年6月18日 10時25分
●ゲームストップ株が上昇後、すぐに下落
米ゲーム小売りのゲームストップは11日、自社株売りのATM(アット・ザ・マーケット・オファリング)を完了し、約21億4000万ドルを調達した。発表を受けて、ゲームストップの株式は一時20%超上昇したが、すぐに急落した。5月にもミーム株が一時急騰する場面があったが、長続きしなかった。
2021年のようなミーム株ブームの再来を期待する声もあるが、米国市場も当時とは大きく変わっている。ミーム株ブームの不発は、米国株のピークアウトを意味するのだろうか?
●ゲームストップ株とキース・ギル氏
2021年に米国のSNSサイトredditのスレッドで、ゲームストップ株を買うように呼びかけられた。ロビンフッドなどの株取引プラットフォームで購入が集まり、20ドル台だった株価は380ドル台に上昇した。ゲームストップだけでなく、SNSで注目されて短期間で急騰するいわゆる“ミーム株”が上昇する場面があり、下落を見込み空売りしたヘッジファンドが大きな損失を受けたことから、ヘッジファンドに勝利したと話題になった。
今年5月に、2021年のゲームストップ騒動の仕掛け人とされるキース・ギル氏が約3年ぶりにX(旧Twitter)に投稿しただけで、約300%超上昇した。
他にも、映画館チェーンのAMCや、ヘッドホンメーカーのコスなどのミーム株も上昇したが、2日後に急落し、2021年の再来とはならなかった。
6月3日にはギル氏がゲームストップ株を大量に保有していることをネット掲示板レディットで公表し、7日には3年ぶりに動画投稿サイトYouTubeで配信を行った。
ゲームストップ社はその前に株式の売り出しと、2-4月期の減収を発表していた。
一連のギル氏の動きに、ゲームストップ株の相場操縦の懸念があり、取引停止も検討されているとの報道もある。
●3年間で変わった米国株式市場
今回のギル氏の動きに3年前の勢いはないものの、下落幅はここ数年低迷していたゲームストップの株価ほどではない。ミーム株への期待が、完全に潰えたわけではないのだ。一方で2021年は、新型コロナウイルスパンデミックによるロックダウンで、一般投資家が在宅となり、給付金を原資として株取引ができたが、その状況とは大きく異なっている。
物価上昇になかなか歯止めがかからず、利下げが遅れている状況でリスクオンに動きにくい相場である。
ミーム株に投資する資金も期間にも限界があり、今回のミーム株不発は米国株の現在地を示しているのかもしれない。
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