地球大気は、地球近郊の超新星爆発からも生命を守る CERNらの研究
財経新聞 / 2024年6月24日 15時48分
超新星爆発は宇宙全体では高頻度で起き、宇宙のあらゆる方向から地上に宇宙線が降り注いでいる。この宇宙線の悪影響から地球生命を守っているのが、地球大気だ。
もし大気の保護がなければ、我々は宇宙線のDNA破壊による異常細胞増殖で死に至る。宇宙のはるかかなたで起こる超新星爆発にナーバスになる必要はないが、100パーセク(326光年)以内で起こる超新星爆発は、通常の宇宙線強度に比べ100倍の威力があり、悪影響を考慮しておく必要がある。
欧州原子核研究機構(CERN)の科学者らからなる国際研究チームは、100パーセク以内で起こる超新星爆発の影響について、研究結果を発表。地球大気がこのような深刻な超新星爆発リスクからも、生命を守る能力があることが示された。
かつて地球の近くで超新星爆発が起きた痕跡は、宇宙の水素原子密度分布測定で明らかになっている。太陽系はローカルバブルと呼ばれる水素原子密度が低い領域を移動中で、ローカルバブルの外側には、この数倍の水素原子密度領域がある。
このローカルバブル領域は、1000万ないし2000万年前に起きた超新星爆発によって形成された。また海洋堆積物中の各堆積年代における、Feの同位元素(Fe60)の存在比率調査により、それが上昇している年代で超新星爆発が起きたことが分かる。
過去のデータから、100パーセク以内で超新星爆発が起こる頻度は100万年に1回と考えられ、海洋堆積物データから、200万年前と800万年前にその事件が起こったとされる。
今回の研究では、地球で起こる対流や大気成分を考慮した大気化学モデルを用いて、100パーセク以内で起こる超新星爆発を想定した数値解析シミュレーションを実施。通常の100倍の電離放射線による最大平均成層圏オゾン層破壊は、世界で約10%となり、人為的汚染による減少と同程度であり、生物圏には影響しないことを突き止めた。
この結論は、過去に100パーセク以内での超新星爆発を経験してきた地球生命が、現在も繁栄している事実から見ても明らかだが、理論的にこれを証明した意義は大きい。因みに超新星爆発が近いとされるベテルギウスは、地球から約640光年離れており、100パーセクより遠く、これによる人類滅亡の心配はなさそうだ。
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