小規模な磁気嵐でも北海道でオーロラが目撃できた原因 極地研らの研究
財経新聞 / 2024年7月1日 16時3分
2023年12月1日、北海道では非常に珍しいとされるオーロラが出現した。だがこの時期には、低緯度地域でオーロラが出現するための必須条件と考えられていた、大規模な磁気嵐は発生しておらず、なぜこのような条件下で北海道においてオーロラが見られたのかは謎であった。
国立極地研究所、名古屋大学、東京大学の共同研究グループは6月24日、この謎の解明にあたり、その結果を公表した。
研究によれば、今回北海道で出現したオーロラは赤いもので、通常ならば200km程度の上空で発生するが、今回のそれは高度400~600kmと極めて高い場所で発生していたという。
今回の原因究明で役立ったのは、数多くの一般市民によるオーロラに関するSNS投稿だった。つまりSNSの普及によって、撮影場所が異なるたくさんの写真を効率よく収集し、分析が可能になった点が決め手になったのだ。
研究チームは、SNSで収集した数多くの写真データの解析により、今回のオーロラは磁気緯度(自転軸ではなく地磁気から決めた緯度)50~53度、高度400~600kmの位置で発生していたことを解明。数多くの写真によって、磁力線に沿って形成されたオーロラの詳細構造も明らかになったことが、原因究明に役立ったという。
北海道で、小規模磁気嵐下においてオーロラが観測できた原因は、この時期に通常地球近傍で観測する太陽風密度の約10倍にあたる、50/ccの密度の太陽風が発生したためだ。これによって、地球の磁気圏のサイズが縮小していたためと、研究チームは結論付けた。その結果、大規模磁気嵐以外の条件下においても、北海道でオーロラが観測できる条件が明らかになった。
大規模磁気嵐の際に北海道で観測されるオーロラは、200km上空で発生するが、小規模磁気嵐の際に、高密度太陽風の発生で観測されるオーロラは、400~600kmとかなり上空で発生する。
今回の研究により、宇宙天気予報の根拠となる基礎データが充実されたため、予報精度向上も期待される。何よりも北海道でオーロラを見るためのツアーをタイミングよく設定できれば、大きな経済波及効果も期待できるかもしれない。
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