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相場展望7月1日号 米国株: AI関連への過度な期待が試される局面、慎重な備えも必要か 日本株: 円相場は「170円」も予想され、内需企業業績も不安が増す

財経新聞 / 2024年7月1日 9時35分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/27、日経平均+36ドル高、39,164ドル  2)6/28、NYダウ▲45ドル安、39,118ドル

●2.米国株 : AI関連への過度な期待が試される局面、慎重な備えも必要か

 1)エヌビディア株の下落要因は、AI関連への過度な期待が明らかになったこと   ・エヌビディア株価推移  1/02   6/18   6/24   6/26   6/28               48.16ドル 135.58   118.11  126.40  123.54   ・エヌビディア株価は、年初来⇒6/18までで2.8倍へと急騰した。   ・その後、6/24には最高値から▲12.88%急落した。    要因は、(1)エヌビディア経営最高責任者(CEO)が自社株を売却したとの報道に端を発した売りが増加。        (2)同時に、人工知能(AI)関連への過度な期待に冷水が掛けられた。

 2)インフレ懸念の後退が支えとなって6/28のNYダウは上昇も、四半期末の持ち高調整の売りで反落

 3)フランス株式相場は4日連続で下落し、5カ月ぶりの安値   ・極右勢力など野党が、大統領が率いる与党連合を上回り、優勢となっている。政治情勢の先行き不透明感から売り圧迫が強くなり、議会解散前と比べ▲6.5%安と大きく下げている。

 4)エヌビディアの株価は、2020年1/2比で2024年6/18には+22.88倍高   ・エヌビディア株価の最高値への推移     2020年1月02日   5.916ドル     2021年1月04日   12.99     2022年1月03日   24.486     2024年6月18日   135.58

  ・エヌビディアは業績が驚異の上昇をみせ、株価が急伸した。人工知能(AI)への期待感の高まりの極みともいえる。

 5)今後の米国株式には、波乱万丈が待ち受けている可能性   ・最近の米国株式市場を牽引してきた主役が演じる期間が短くなっている傾向がある。米国株式市場では時価総額の首位が目まぐるしく入れ替わっている。

  ・この現象は、市場に高値警戒感の表れを示しているかもしれない。

  ・米株式評論家のなかでも強気一辺倒から、強弱の論評が目立つようになってきた。エヌビディアの株価が6/18に、調整局面に入ったサインを示す▲10%超えてた。6/28は高値から▲9.1%であるが、今後の米株式相場の動向を慎重にみたい局面に入ったとみる。

  ・フランスの政局の混乱が、世界株式市場に与える影響にも注視したい。      

●3.米5月PCE価格指数は前年比+2.6%に鈍化、コア指数は+2.6%上昇(ロイターより抜粋

 1)5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比+2.6%と、前月の+2.7%から鈍化した。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比+2.6%上昇で、2021年3月以来の小幅な伸び。4月は+2.8%上昇だった。

 2)米国の5月個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが前月から鈍化したことを受け、連邦準備理事会(FRB)が9月までに利下げを決定し、12月に追加利下げを実施するとの観測が高まった。

●4.ヘッジファンド、ハイテク株を「積極的に」売り=ゴールドマン(ブルームバーグ)

 1)今月の米ハイテク株の売り越は2017年以降で最大となる勢い。

●5.利下げまだ支持できず、インフレ圧力なお高い=ボウマンFRB理事(ロイターより抜粋

 1)「インフレにはなお多くの上振れリスクがある」とし、「政策金利を引き下げるのが適切な段階にまだ達していない」と指摘した。

 2)同時に「今後発表される経済指標でインフレを巡る進展が停滞、または反転していることが示されれば、今後の会合で政策金利を引き上げる用意もある」と述べた。

●6.フランス下院選挙、6/30の1回目投票で極右・国民連合(RN)が第1党へ(共同通信)

 1)マクロン大統領の与党連合が第3勢力に縮小する勢い。

 2)7/7の決選投票でRNが大勝すれば、フランスの内政だけでなく、外交や経済にも大きな影響を与える可能性がある。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/27、上海総合▲26安、2,945  2)6/28、上海総合+21高、2,967

●2.中国6月製造業購買担当者景気指数49.5と、2カ月連続で景気の分かれ目50下回る(ロイター)

 1)一方、非製造業PMIは50.5で、5月の51.1から低下し、昨年12月以来の低水準。

●3.日本の自動車メーカー、中国での5月販売は5社すべて前年下回る(NHK)

 1)前年同期比、トヨタ▲13.6%減、ホンダ▲34.6%減、日産▲2.8%減、マツダ▲20%減、SUBARU▲76.4%減。

 2)EVの普及が急速に進む中国では、現地メーカーが値下げ競争を行うなどして日本メーカーの苦戦が続き、生産の撤退や縮小も含めて戦略を見直す動きが相次いでいる。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/27、日経平均▲325円安、39,341円   2)6/28、日経平均+241円高、39,583円 

●2.日本株 : 円相場は「170円」も予想され、内需企業業績も不安が増す

 1)日経平均の地合いは「弱い」   ・6/28日経平均は+241円高も、値下がり銘柄数が924と値上がり数660より多い。   ・6/28のストキャストのFASTが85、SLOWが85と買われ過ぎを示している。

 2)円相場は「170円の円安」を目指す勢い?   ・円安の原因は、「日本の国力低下」にある。    その要因     ・日本企業による中国を始めとしたアジア諸国等への生産拠点移動。これにより、日本の輸出が減少した。加えて、海外進出した生産拠点から日本への輸出と日本の輸入増加に拍車をかけた。自動車生産も米国などに生産拠点投資をして、輸出増機会を失う。半導体も世界の要求に応えられず、日本の産業の花形から転落した。上記のことから、日本の貿易収支の黒字が、赤字へと転落した。

    ・かつて、世界を代表する製品が日本にあったが、今はない。ソニーのウオークマンは世界市場を席巻したが、今はアップルを始め輸入。パソコンは東芝が生み出した製品だが、今や中国製造で輸入に頼っている。冷蔵庫などエレクトロニクス製品も日本発で輸出していたが、今や輸入。

    ・半導体も世界の市場シェアで一時90%を占める勢いであったが、今や世界市場の10%程度になり下がっている。政府・日銀が始めたバブル退治の「総量規制」のマイナス効果で日本企業は衰退し、負の整理に追われ新規投資が出来ず。追い打ちをかけたのは、巨額な消費税増税。個人消費支出がマイナスへ。企業は業績不安から、正規雇用から非正規雇用へとシフト。個人の収入は減少か横ばいへ、全体としては消費の抑制へ。実質賃金は25カ月連続でマイナス。この実質賃金マイナスは、岸田首相政権の1,000日の間での出来事である。結局、日本のGDPは停滞から抜け出せない。

    ・エネルギー価格と食料品価格の高騰に、円安が追い打ちをかけ、輸入コストが上昇。それでも、政府・日銀は政策を改めず。輸出力を削ぎ、国民を貧しくした政策を当たらめない限り「円安は進行」に歯止めはかからない。

    ・このままいけば、円は200円もありえる。当面は170円が目安と思われる。

    ・「一億中流意識」の輝く日本から、「一部の高所得者で多くは貧しい日本」に転落させてしてしまったことへの反省が必要。

 3)日本の株式相場は、上昇の可能性よちも、下落リスクが高まっている   ・世界の投資マネーが、日本から流出するリスクが高い。海外投資家は6月3週で5週連続で日本株を売り越している。

  ・円安効果で輸出関連企業の業績は上向くが、消費減退で内需企業の業績は下向くだろう。世界から見ると中国のPER14倍は低く、魅力的に映るだろう。

  ・年始から急速に日本株相場に投資してきた海外投資家は現物株と先物合計で激減している。     3月1週(~3/08)  +2兆0,929億円 6月3週(~6/21)  +  1,037億円      差引       ▲1兆9,892億円    ・今まで買い支えていた企業の自社株買いも6月最終週でピークを迎える可能性もある。

 ・年初から売り越してきた企業年金が、買い越しに転じるとは思えない。

 ・内需企業の業績だが、大手スーパーで値引き販売が増えてきているのは消費減速を示唆していると思われ、下振れリスクがある。したがって、日本株相場に楽観は出来ない。

●3.新興株市場のグロース250指数が6/27続伸、バイオ株人気が高まる(ウエルスアドバイザー)

●4.日立の時価総額、ソニーを上回る、年初来+8割近く上昇(日経新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1893 五洋建設    業績好調  ・2726 パル      業績堅調  ・4480 メドレー    業績好調

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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