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長期宇宙ミッションにおける医薬品の有効期限問題 デューク大の研究

財経新聞 / 2024年7月29日 9時55分

 有人火星探査計画はまだ具体的なスケジュールすらないが、近い将来人類は必ず火星を目指す日が来る。火星への旅は短く見積もっても往復36カ月以上の長旅になる。そこで問題となるのは医薬品の有効期限問題だ。たとえ地球上で36カ月間以上の有効期限を有する医薬品であっても、宇宙環境で同様の有効期限が期待できるかどうか、人類は知見をまだ有していないのが現状だ。

 デューク大学は23日、国際宇宙ステーション(ISS)で使用される医薬品の有効期限に関する研究結果を公開した。

 これによれば、36カ月間の宇宙でのミッションを想定した場合、最も楽観的な見方をした場合でも、ISSで使用する医薬品の約60%は、効果が得られなくなってしまう可能性があるという。最も控えめな見方をした場合には、実に98%の医薬品で効果が期待できなくなってしまう。

 ただし、有効期限切れの医薬品が全く効力を示さないという意味ではなく、地上で有効期限切れと分かっている医薬品を服用するのと同じ状況に、クルーが陥るとの警告だ。

 ISSで活動するクルーは、地上で生活する以上に医薬品の服用に迫られる機会が増える。宇宙酔いや、アレルギーなどの悪影響を放置すれば、ミッション遂行に重大な支障をきたすため、これらを抑えるための薬の服用は避けて通れない道だ。しかも、1週間のうちでも頻繁に服用の必要がある薬物もあるという。

 だが現在のところ、解決策は、有効期限の長い医薬品を持参するか、有効期限切れのものを効果が100%期待できないことを容認しつつ服用することしかない。やっかいなのは、医薬品ごとに有効期限を延長できる対策(宇宙での保存方法など)が異なることだ。

 有人火星探査では、人間の寿命が15~24年短くなると推定する研究もあり、現在顕在化している問題をクリアしないで有人火星探査に挑戦するクルーは、これらの重大な健康問題を強要されることになる。人命尊重の観点から、有人火星探査はそう簡単には実現できそうにない。

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