福島県大熊町、住民帰還へスーパーのマルトグループHD進出へ
財経新聞 / 2024年7月26日 11時52分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で被災した福島県大熊町は、福島県と茨城県でスーパーなどを運営するマルトグループホールディングス(HD)と、商業施設出店の基本協定を結んだ。マルトグループHDは、大熊町が原地区に整備する公設商業施設(大熊町下野)に出店し、2027年度から帰還した住民向けに食品や日用品、医薬品などを販売する。
マルトグループHDが出店するのは、JR常磐線の大野駅から南西約1キロ、常磐道大熊インターチェンジから南東約1.7キロの町有地。近隣に町営住宅や産業団地の大熊中央産業拠点があり、約1万700平方メートルの敷地に大熊町が公設商業施設を整備する。
マルトグループHDは生鮮食品や加工食品、冷凍食品、惣菜、パン、飲料、酒類、日用品、医薬品、衛生用品などを販売する。売り場面積は最大で約1,200平方メートル。商業施設は2026年度に完成する見込みで、マルトグループHDは翌2027年度から営業に入る。
大熊町は町内に福島第一原発があり、事故により全町避難を強いられた。2019年に町西部の大川原、中屋敷地区、2022年にJR大野駅周辺の避難指示が解除されたが、震災前に1万1,000人以上いた住民の多くが帰還するのはこれからで、町内に住民票を置く約1万人のうち、町内在住は約790人、住民登録がない人を含めても約1,280人にとどまっている。
帰還が進まない理由には、放射線への不安とともに、生活に必要な物資購入場所の不足を挙げる声があった。このため大熊町は、原地区に公設商業施設の整備を計画し、公募型プロポーザル方式で事業者を募った結果、マルトグループHDを優先交渉権者に選んだ。
マルトグループHDは福島県いわき市に本社を置き、スーパーの「マルト」やドラッグストア・調剤薬局の「くすりのマルト」などを傘下に持つ。このうち、マルトは福島県と茨城県に計37店を出店している。
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