アストロスケール、宇宙ゴミまで50mの接近飛行と撮影に成功 世界初
財経新聞 / 2024年8月2日 16時15分
宇宙ゴミ(スペースデブリ)は、不要になった人工衛星などの残骸だ。非常に高速で地球を周回しているため、その破壊力はすさまじく、直径が10cm程度のものでも衝突すれば、宇宙船を破壊してしまう。
このような重大な被害をもたらす可能性のある宇宙ゴミはカタログ登録され、監視されているが、その数は約9,000個にも上る。さらに1mm以下の微小なものまでカウントすると、その数は数百万個ないし数千万個にも上るとされる。
JAXAでは、宇宙ゴミ除去を目的としたビジネス創出を、民間事業者と連携して目指している。このビジネスを担うアストロスケールは7月30日、実証衛星「ADRAS-J」により、高速で宇宙空間を漂うロケット残骸から約50メートルの距離を保つ周辺飛行に成功したと、発表した。本物のデブリの周囲を飛行する運用に成功したのは、世界で初めてという。
この残骸は、日本が2009年に打ち上げたH2Aロケット15号機の第2段部分で、全長約11メートル、直径約4メートル、重さ約3トンと巨大な宇宙ゴミだ。
アストロスケールが公開したタイムラプスでは、ロケット残骸があらゆる角度から撮影されたコマが示されている。各部分のディテールが鮮明に映し出されており、非常に臨場感と迫力をもって我々の眼に迫ってくる。
JAXAの公開情報によれば、現在はフェーズIにあたり、スペースデブリへの接近、近傍制御を行い、軌道上に長期間存在するデブリの運動や損傷・劣化がわかる映像の取得を目的として活動を展開中だ。
実際に宇宙ゴミの除去に着手するのはフェーズIIにあたる2026年以降となるが、予定通りに計画が遂行されれば、世界初の宇宙ゴミ除去となる。
以前は老朽化した衛星はミサイルによる破壊が実施されていたが、その結果、より小さな宇宙ゴミが飛散し、それらによる被害範囲拡大リスクもあり、現在国連では老朽化衛星の破壊を禁止する決議が採択されている。
また2022年にアメリカは衛星破壊実験を中止することを公表し、他国にも実験中止を呼び掛けており、日本のより安全な宇宙ゴミ回収事業が成功すれば、そのインパクトは計り知れないものとなるだろう。
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