一畑百貨店閉店のJR松江駅前、松江市が再開発の素案 複合施設建設へ
財経新聞 / 2024年9月5日 16時3分
島根県松江市と松江商工会議所が設置した「松江駅前デザイン会議」(会長・田部長右衛門松江商議所会頭)は、一畑百貨店の閉店で核となる商業施設を失ったJR松江駅前の再開発素案を、松江市と松江商議所のホームページで公表した。松江市で9月17日まで市民の意見を受け付け、秋の間に最終案を決める方針だ。
素案によると、2024年1月に閉店した地下1階、地上6階建て延べ約1万4,000平方メートルの一畑百貨店は解体し、商業施設や宿泊施設が入る複合施設を建てる。松江駅前デザイン会議は民間による再開発を想定し、施設を所有する一畑電気鉄道が複数の開発事業者らと売却交渉を進めているが、現時点で交渉妥結の見通しは立っていないという。
駅前にあり、ふるさと島根定住財団などが入居する地下2階、地上7階建て延べ約1万2,000平方メートルの複合施設「松江勤労者総合福祉センター」(松江テラス)は、解体して一部機能を一畑百貨店跡の再開発ビルに移転する方向。
このほか、北口でバスターミナルを再編して新たに駅前広場を整備する一方、北口にあるタクシー乗り場を南口に移して再編する。松江城や水辺空間へ観光客が足を運び、市中心部のにぎわいを再構築するために、松江駅から北、東、西方向への歩行者動線整備などを盛り込んでいる。
松江駅前デザイン会議は素案を松江駅周辺のまちづくりを進めるための指針と位置づけ、5~10年先を見越した視点でまとめた。最終案が確定すれば、それに基づいて具体的な事業計画の検討に入る。
一畑百貨店は1958年、松江市殿町で開業し、1998年に松江駅前に進出した。島根県唯一の百貨店として市民に親しまれていたが、売り上げの低迷に苦しみ、閉店した。これにより、島根県は百貨店空白県となり、松江駅前のにぎわいにも影響が出ている。
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