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先進国の自動車産業に於ける水素エネルギーの優位性

財経新聞 / 2024年9月13日 16時41分

Photo: トヨタ自動車(株) 佐藤恒治代表取締役社長とBMW AGオリバー・ツィプセ取締役会会長 (画像提供 トヨタ自動車)

 8月28日付の日本経済新聞1面に、「燃料電池車 全面提携 トヨタ・BMW基幹部品で」との記事が掲載された。

 一方で、9月5日には、「ボルボ、全新車EV化撤回」と並んで「VW独工場閉鎖」に関する記事も掲載された。

 中国のEV化の尻馬に乗ったが、国内産業の崩壊に危機感を抱いた結果、内燃機関全面禁止の方針を掲げていた欧州連合(EU)は、エンジン車を2035年以降も一部容認すると方向転換をした。

 現時点では、EV車推しの過誤に気付き、脱EV車の傾向が次第に強くなりつつある。

●トヨタとBMWの水素関連関係強化

 トヨタは9月5日、『「トヨタとBMW、水素社会実現に向けた協力関係を強化」-乗用車での燃料電池自動車のラインナップ拡大を見据え、第3世代の燃料電池システムを共同開発、インフラ整備も推進-』と発表した。

 1)燃料電池システムをより多くの乗用車に搭載し、お客様に幅広い選択肢を両社で提供  2)持続可能な水素供給網の構築

 を目的としている。

●BMWと水素エンジン車

 BMWは「京都議定書」が採択された1997年12月、国立京都国際会議会館で開催された「第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)」に、レシプロエンジンの燃料系を水素にした「水素エンジン車」を展示していた。

 ここで配布していたBMWのパンフレットには、「宇宙で一番クリーンなエネルギーは、太陽光発電で得た電気を用いて、水を電気分解して取り出した水素だ」(原文英語・筆者訳)とでかでかと記載してあり、それは非常に印象的であった。

 BMWはマツダと並んで、自動車メーカーの中では、水素に対するアプローチが最も早かった会社の一つで、1990年代から両社は、既存のエンジンを改良する形で水素エンジン(水素を燃料とするエンジン)の開発を進めている。

 但しBMWは、一時期は「水素エンジン車」開発に行き詰まり、中断しているとの情報もあった。

 これは、レシプロエンジン特有のシリンダーヘッド部分が、「吸気」された燃料が「爆発」工程後の高温部分に入るので、異常爆発の解消がロータリーエンジンよりも困難だった事も原因とされている。

●先進国に於ける水素エネルギーの優位性

 自動車の水素を主燃料とする動力源としては、「燃料電池」と「水素エンジン」がある。

 水素インフラが早期に整備されれば、EV車の様な未完成な技術の車両を、不自由を忍んで利用する必要は無くなる。

 EV車では実現が困難な、「コンボイ」に登場する様な大型トラクターに関しては、燃料電池を搭載した車両の開発が進んでいる。

 トヨタ自動車とダイムラートラックの資本提携により、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合し、いすゞとUDトラックス連合も27年をめどにホンダと共同開発したFCトラックの投入を目指している。

 国内二輪メーカー4社も5月17日、水素燃料エンジンについて、二輪車向けの研究開発で協業すると発表した。月内にも研究に特化した研究組合を設立する。

 既に産業界では、水素に関連するいろいろな取り組みが始まっている。

●自動車の将来像

 直近の、加熱したEV車ブームは、一時的な熱病みたいなもで、EV車は自動車として未完成な上に、発火事故や発火火災時の消火の困難さ、廃車処理の困難さから、現在の自動車に取って代わって主流には決してなり得ない。

 将来的には  1)従来型の内燃機関搭載車(ガソリン車・ディーゼル車)は無くなる事はない  2)先進国を中心とした内燃機関搭載車はHV車、PHEV車が主力となるだろう  3)燃料電池車(FCV)と水素エンジン車の相対比率が高まる  4)EV車は一定用途のみで生き残るだろう

 以上の項目について補足説明をすると、  1)に関しては、開発途上国や未開発エリアの様なインフラが整わない環境下にあっては、内燃機関搭載車以外は使い物にならないからである。

 2)に関しては、通常の内燃機関搭載車よりも燃費等の環境性能が高いので、環境意識が高い層には容認し易いからだ。

 3)は、地球環境と将来を見据えた場合、化石燃料から脱却する必要があり、その場合には水素が最も理想に近いからである。

 4)は、「全固体電池」の進化や、特定エリア内での「走行中給電」技術の活用により、限定的な用途での活路を模索すべきだ。

●EV車の限界

 ベンツやポルシェといった名門メーカー製であっても、自動車輸送船やマンション地下駐車場での大規模火災を引き起こした、EV車に対する一般ユーザーの認識の変化が大きい。

 「1充電走行距離」や「充電インフラ」問題以前に、「発火事故」対策が万全にならない限り、EV車の将来は険しい。

 「隣家がEV車を購入したので、EV車発火事故による火災延焼が怖くて、夜も寝られない」様なシロモノは勘弁して欲しいものだ。

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