直径4km前後の小惑星衝突を核爆弾で回避 米サンディア国立研究所の研究
財経新聞 / 2024年10月6日 17時8分
直径数km級の小惑星衝突は、地球生命の絶滅危機をもたらす。今から約6600万年前にメキシコのユカタン半島北部に10km級の小惑星が衝突し、直径160kmにも及ぶ巨大なチクシュルーブクレーターが誕生した。その後地球環境は激変し、恐竜絶滅につながった。この時、地球生命の約76%が絶滅したと言われるが、今同様の事件が起こった場合、人類はこの危機を回避可能だろうか?
この危機を回避する具体的なアイデアが、米国サンディア国立研究所の科学者らによって示された。このアイデアは、核爆弾を使うものだが、小惑星を直接粉砕するのではなく、小惑星上空で核爆発を起こし、その爆風で小惑星の軌道をそらせようというものだ。
小惑星を粉砕させるのは得策でない。運よく粉砕できても、無数の破片が地球に降り注ぎ、これが大災害をもたらすのだ。また小惑星の組成(例えば粘土でできた星をイメージするとわかりやすい)によっては、核爆発の衝撃波が表面で吸収され、粉砕できない可能性もある。
今回の研究では、小惑星上空で核爆発を発生させたとするモデル実験を実施。それによって得られたデータを用いて、より大規模な核爆発のシミュレーションを行い、具体的な検証を行っている。
モデル実験では、石英とシリカ製の試料により小惑星の模型を作り、それを真空容器内に吊るした。ここに、アルゴンプラズマを加熱してX線パルスを発生させ、それを照射、模型を蒸発させた。
この実験データに基づき、大規模爆発を模したコンピュータシミュレーションを実施。直径3~5kmの小惑星なら、核爆弾で軌道をそらすことができる可能性があることが判明したという。
直径10kmクラスの小惑星が地球に衝突する頻度は1~2億年に1度だが、NASAによれば、直径1km以上の小惑星で地球に衝突する可能性のあるものは、現在約1,200個もあるという。
NASAはこれらの動きを常に監視し、非常事態に備えている。危機回避のために最も重要なことは、できるだけ早く危険天体を発見し、地球から十分な距離がある段階で具体的な処置をとることだ。だが現時点で具体的処置をとる必要のある小惑星は見つかっておらず、当分は安心だ。
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