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玉ねぎに含まれるケルセチン、二日酔い改善 アルコールの病気を予防 岡山大

財経新聞 / 2024年10月8日 9時4分

 岡山大学は、玉ねぎをはじめとした野菜や果物に含まれるポリフェノールの一種「ケルセチン」が、肝細胞をアルコールから守る働きを持つことと、そのメカニズムを解明したと発表した。今後、二日酔い症状やアルコールによる様々な疾患を予防する、サプリメントや機能性食品の開発につながることが期待される。

 今回の研究は、岡山大学の中村宜督教授、中村俊之准教授、同学術研究院の佐藤あやの准教授らの研究グループにより行われ、その研究結果は、 7月11日に「Bioscience,  Biotechnology, and Biochemistry」、 8月20 日に「International Journal of Molecular Science」に掲載されている。

 ポリフェノールとは、植物が持つ苦味や色の成分である。強い抗酸化作用を持つため、活性酸素などの有害物質を除去を含む様々な働きが知られている。

 その中でも、玉ねぎをはじめとした野菜や果物が多く持っている「ケルセチン」は、心臓や血管系の病気やメタボリックシンドローム、認知機能に有効であることがこれまでの研究で明らかになっている。さらに動物での研究により、アルコール性肝障害をケルセチンが改善することも示されている。

 体内に入ったアルコールは、分解されてアセトアルデヒドになる。アセトアルデヒドは細胞に有毒な成分で、二日酔いや様々なアルコール関連疾患の原因物質でもある。

 このアセトアルデヒドを分解し無害にするのが、アルデヒド脱水素酵素SLDH2である。日本人をはじめとする東アジアの人々ではこの酵素の遺伝子が変異しており、約50%の人々がアルデヒドを分解できない。

 今回研究グループは、アルデヒドを分解する酵素を作る遺伝子のうち、ALDH1a1遺伝子またはALDH2遺伝子に注目。それぞれを遺伝子編集により除去した培養肝細胞モデルを使用して実験を実施した。

 まずそれぞれの細胞に対するアセトアルデヒドの影響を調べたところ、ALDH2が作れない細胞が最も毒性の影響を強く受けた。

 次に、アセトアルデヒドの毒性に対するケルセチンの効果を検討。その結果、ケルセチンはどの細胞でも毒性を抑えたが、ALDH1a1を除去した細胞ではケルセチンの効果は減弱した。細胞が作り出すアルデヒド分解酵素の総量は、ケルセチンを与えた時、ALDH 2を除去した細胞では増加したが、ALDH1a1を除去した細胞では全く増えなかった。

 さらに研究グループは、ケルセチンによって抗酸化物質合成酵素の量が増え、細胞保護作用が強くなることも明らかにした。これら二つの研究結果より、ケルセチンは、アルデヒド分解酵素の量を増やして細胞への毒性を減らし、抗酸化物質合成酵素の量を増やして細胞を保護するという二つの作用により、細胞を守ることがわかった。

 今回の研究は、培養細胞モデルで行われたものなので、今後動物や人におけるケルセチンの効果を検討していく必要がある。将来的には、アルコールによる肝臓の疾患を防いだり、二日酔いの症状を予防・軽減するサプリメントや機能性食品などの開発につながることが期待される。

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