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「牧草地に出す」とは? 退職や引退の際に用いる家畜にちなんだ英語イディオム

財経新聞 / 2024年10月15日 9時43分

 動物と人間の関わりは古代から続いており、特に農業においては家畜が重要な役割を果たしてきた。そんな動物たちにちなんだイディオムも数多く存在するが、今回は引退や退職の際に用いられる表現を紹介したい。

■Put Out to Pasture

 「pasture」とは「牧草地」や「放牧地」を表す。つまり、「put out to pasture」を直訳すれば、「牧草地に出す」や「放牧に出す」などとなるだろう。ところが、イディオムとして用いられる場合は、通常、年齢が理由で誰かを退職させることを意味する。

 この表現は農業に由来しており、もともとは年老いた家畜が引退する時に使われていたものだ。農場では、かつて馬やラバ、牛などが労働力として広く使われていた。しかし動物が年を取り、労働に耐えられなくなると、優しい農夫はこうした動物を「放牧地に出す」ことを選んだ。

 売り飛ばしたり処分したりするのではなく、労働から解放し、残りの時間を自由に過ごさせてやろうという配慮だ。こうして引退した動物はもう二度と重労働を課されることはなかった。

 人間に対してこのイディオムが使われるようになったのは19世紀からだ。年齢や体力の衰えにより仕事を続けることが難しくなった人が、動物と同じように「放牧地に出される」、すなわち引退させられることを指す。これが転じて、現在では「退職」や「引退」を意味する表現として広く使われている。

 つまり解雇というよりは、退職させられるが、悪意を伴わず、年齢を重ねた労働者に対して穏やかに引退を促すような意味合いが強い。単に「クビにされた」という冷たいニュアンスではなく、長年の労働の後に訪れる自然な退職を表現するイディオムと言ってよいだろう。

 例文  ・The company will put many of their senior employees out to pasture next year.  (会社は来年、多くの高齢社員を退職させる予定だ)

 ・I’ve decided it’s time to put myself out to pasture and enjoy my retirement.  (自分から退職する時が来たと決めて、これからは引退生活を楽しむつもりだ)

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