グロース市場に上場、小さく生まれたナレルグループの時価をどう読むか
財経新聞 / 2024年10月25日 14時49分
ナレルグループ(9163)が東証グロース市場に上場したのは、昨年7月。初値は公開公募価格より5.57%安い2540円。小さく生まれた。
前2023年10月期で見ると「建設ソリューション事業(建設業向け技術者派遣):総売上高比率89.2%/営業利益比率95.2%」「ITソリューション事業(IT業界向け技術者派遣):10.8%、4.8%」という事業比率。
ともに人材不足が指摘されている分野。ちなみに建設業界向け就労者数はピークの1997年の685万人から昨2023年には483万人に減少している。かつナレルグループが「自前育成」を前提に特色としている技能者数では、464万人から307万人に低下している。
その背景としては「需要増に対する経験者の減少」「労働人口の高齢化」「3K(きつい・きたない・きけん)」などが指摘されているが、「就業時間規制(残業時間減)」という流れの中で今後その傾向は強まっていくと見ざるをえない。
ITソリューション事業でも、高待遇が自社でスタッフを抱え込むことは容易ではなく、遣業に頼る流れを増勢させている。
一口で言えば、時代に寄り添うビジネスを展開している。公開後の収益動向が、それを如実に反映している。
前23年10月期は「23.8%増収、21.1%営業増益、初配当(95円)実施」。そして今10月期も「21.3%の増収(218億3000万円)、12.2%の営業増益(27億7000万円)、15円増配110円配」で立ち上がり、開示済みの第3四半期は前年同期比「21.0%増収、17.7%営業増益」で通過。四季報は今期をそれぞれ「220億円、29億5000万円」に独自増額している。
確かに建設ソリューション事業のKPI(成果達成指数:研修中を除く稼働率)を見ると「上半期:94.58%/下半期(至8月):93.23」。四季報の独自増額に「根拠」も感じられる。
総務省によると「2022年の全建設就業者数のうち、39歳以下は26.1%」。対してナレルグループの場合、前期末で39歳以下は約90%。望まれる派遣社員の枠組みが整っている。
前記した通り「安く生まれた」株価のその後はどうか。2月21日には3890円まで買い進まれ、その後は利食い先行の売りの洗礼を受けたが全体相場のお幅下落となった8月5日の2034円で底打ち。戻り基調の中で時価は2470円台。予想税引き後配当利回り3.56%。1年余を経て地相場入りしたかどうかの判断は、読者諸氏にお任せする。
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