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倒産の危機も乗り切ったTKP、収益回復基調も時価の予想PERは9倍余

財経新聞 / 2024年10月30日 16時17分

APAMANとの業務提携第1弾となる「TKP博多口カンファレンスセンター」のオープニングレセプションの様子(画像: ティーケーピーの発表資料より)

 ティーケーピー(3479、東証グロース。以下、TKP)の収益動向が、回復の足取りを確かなものとし始めてきた。貸し会議室大手。遊休不動産の一括借り上げ・小分け活用がビジネスモデル。

 伊藤忠商事出身で現カブドットコム証券/楽天銀行の立ち上げに関わった現社長:河野貴輝氏が、2005年に興した。「過去に3回、倒産の危機に晒された」とする。

 *リーマンショック時: 1カ月で5億円のキャンセル/月額1億円の赤字。  *東日本大震災時: 直後からキャンセルが続出。  *2020年のコロナ禍: 約90億円という過去最大のキャンセル額で、創業以来の減収/営業赤字。

 河野氏は「今となっては、ピンチをチャンスに変える、などと言っているが」としてみせるものの、ピンチに際しての対応策にはTKPを知るアナリストが「評価に値する」としていることも事実である。

 リーマンショック時は「不動産オーナーと交渉し賃料を半額程度まで下げてもらう“土下座”交渉。かつ会議室の使用料を値引きし、それを武器に新たな顧客開発に注力」。

 東日本大震災では「ホテルの宴会場の再生ビジネスに着手。イベント自粛で使われなくなったホテルの宴会場や厨房の取得を活かし、料理・音響照明・レンタル備品を内製化して客単価の向上を図った」。

 コロナ禍では「我々の中でも見方が割れた」と言うが、2019年に買収した日本リージャス(小規模賃貸オフィス)の三菱地所への売却。「50億円の損切」と当時、指摘された。「が今になって考えるとコロナ禍でリージャスを背負い込んでいたら、倒産の2文字が現実化していた危機もぬぐえない」とアナリストも口を揃える。

 事実、コロナ禍の3年間でTKPは約116億円の赤字となった。河野氏も最悪のケースが頭の中にはあったのだろう。「金融機関からの借入枠の確保や不動産売却などで、1年間持ちこたえる資金として約360億円の運転資金を確保した」と語っている。

 TKPが営業黒字に転じたのは23年2月期:35億7500万円。24年2月期も28.9%の営業増益。そして今2月期も前期末の予想を期初に上方修正する形で、「67.9%の増収(620億円)、77.5%の営業増益(82億円)」計画。

 本業の回復を確信した故だろうが、フォロー体制の強化に注力の姿勢(M&A)を積極化している。「APAMAN(不動産賃貸仲介)と業務誌品提携/今年8月」「リリカラ(インテリア商品製造)/6月連結子会社化」「ノパレーゼ(結婚式場運営)/持ち分法適用会社化」。

 本稿作成中の時価は1200円余り。1月高値1938円からジグザグを繰り返し8月には1938円をうかがうも10月に1100円台終盤まで、水準を下げ揉み合い・小戻し場面。予想PER9.28倍。未だ「収益回復・拡充」を反映するには至っていない。まずは今期計画の達成が一里塚か。

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