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相場展望10月31日号 日本株: 首相は「政権維持」に集中、「政策実行は停滞」⇒株価には重荷 一方、野党の要求を優先⇒財政拡大し、株価には追い風も

財経新聞 / 2024年10月31日 9時56分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/28、NYダウ+273ドル高、42,387ドル  2)10/29、NYダウ▲154ドル安、42,233ドル  3)10/30、NYダウ▲91ドル安、42,141ドル

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/28、上海総合+22高、3,322  2)10/29、上海総合▲35安、3,286  3)10/30、上海総合▲20安、3,266

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/28、日経平均+691円高、38,605円  2)10/29、日経平均+298円高、38,903円  3)10/30、日経平均+373円高、39,277円

●2.日本株:石破首相は「政権維持」に集中、「政策実行は停滞」へ⇒株価には重荷

       一方、国民民主党など野党の要求を優先⇒財政拡大し、株価には追い風も

 1)石破首相は「政権維持」に集中、「政策実行は停滞」へ⇒株価には重荷   ・衆院選挙後の特別国会では首班指名選挙が優先される。しかし、衆院選挙で自民党は大敗したため、石破首相は無所属議員の自民党への入党と、野党との連立や部分連合などの取り込みを最優先させる考えのようだ。少数与党となったため、野党との政策協議にも時間がかかる。そのため、首相指名選挙を遅らせる考えのようだ。

  ・財政面では防衛増税などの議論を議題の乗せるのは困難になり、日銀も利上げはしにくくなりそうだ。憲法改正などの論議も停滞する見通しだ。そのあおりを受け、経済対策や補正予算案の策定は先送りされることになる。

  ・この政治の混乱収束の遅れが、日本の株式相場にとって重荷になる懸念が増している。

 2) 一方、国民民主党など野党の要求を優先⇒財政拡大し、株価には追い風も   ・今回の衆院選で、国民民主党は20代や30代などの若者層から大きな支持を受け、議席を7⇒28へと4倍増となり大躍進した。国民民主党が若者層から支持された選挙公約には家計支援が盛り込まれている。     ・消費税や所得税の減税     ・103万円の壁を撤去     ・社会保険料の軽減     ・生活費の引き下げなどで手取り収入を増やす     ・電気代の負担軽減やトリガー条項の解除によるガソリン代負担軽減    石破首相にとって、政権維持のため国民民主党の協力を得るため、国民民主党の公約を受け入れると思われる。ただ、岸田・前首相は国民民主党に「トリガー条項の凍結解除」を公約して、今年3月に予算案に賛成させ国会通過をした。そして、国民民主党の賛成投票で予算承認を得て通過すると、この公約を反故にした。この岸田・前首相の裏切りの代償を、石破・首相は払わさせられることになる。

 3)衆院選を比例得票数からみた勝敗   ・勝ち組      比例得票数(万票)        議席数          国民民主党   259⇒ 617 +358 +238%増    7⇒ 28 +21増     れいわ新選組  221⇒ 380 +159 +172%増    3⇒ 9 + 6増     立憲民主党  1,149⇒1,156 + 7 + 0.6%増  98⇒148 +50増   ・負け組     共産党    416⇒ 336 ▲ 80 ▲ 19%減   10⇒ 8  ▲2減     公明党    711⇒ 596 ▲115 ▲ 16%減   32⇒ 24  ▲8減     日本維新の会  805⇒ 510 ▲295 ▲ 37%減   43⇒ 38  ▲5減     自民党    1,991⇒1,458 ▲533 ▲ 27%減   256⇒191  ▲65減

  ・以外だったのは、追い風のなかなのに共産党が▲80万票減少と▲2議席減。日本維新の会が▲295万票減少し、▲37%減と一番の得票率が減少したこと。自民党と公明党も得票・議席ともに減少したことは特筆される。

  ・自民党は、リクルート事件を深く反省し、政治への不信感払拭のルールを創った。その後、自ら創ったルールを無視し、以前の自民党に先祖返りをした。岸田・前首相は反省することなく、リクルート事件後に創ったルールを帰りみることなく、表面上の言い逃れで収拾を図ろうとした。その結果、自民党を支えてきた保守層の約4割と無党派保守層の多くが衆院選で投票所に行かなかったか、国民民主党などに投票が流出した。自民党は解党的反省に立ち返って再起しない限り、保守層の自民党離れは続くと思われる。自民党として生き残れるか瀬戸際にある。

  ・日本維新の会は、党首の失言・独裁的な運営、所属議員の不祥事などが重なり、民意が離れたと思われる。政治資金規正法の改正で、自民党案に衆院で賛成したがその後、岸田・自民党に愚弄され、「ダマされた」と反発し、参院では反対投票し通常国会で迷走した。衆院選でも党首の「自公の過半数割れの一翼を担ったと自負」と誤った認識、大阪地区以外で全国的に大苦戦したことに反省の弁などなく、退潮が著しい。「改革政党」維新の存在意義が問われている。

  ・共産党も、専制的な上意下達、下からの声が届かない組織運営が明らかとなり、硬直した組織が広く世に知られるようになった。しんぶん赤旗のスクープ記事は評価されるが、それを活かせない状況に陥った。

  ・立憲民主党は、小選挙区では追い風を巧みに受け議席数を伸ばした。野田氏を代表に選出したことで、落日の共産党系の票を失ったが、保守・無党派層を新規獲得できたことで衆院選を勝った。しかし、民意を汲み取った公約を提示できなかったため、比例票では横ばい。次回参院選・衆院選でも多数の議席獲得ができるか?問題をはらんでいる。比例票を次回国政選挙で増大できる立憲民主党になれるか、試されている。

  ・国民民主党は、20~30歳代の若者が抱える問題解決「手取りを増やす・国民の懐を潤す経済政策」を公約に掲げ、若者から大きな支持を獲得し、大躍進した。自民党に投票してきた無党派保守層の受け皿になったことも大きい。政治不信の塊となり果てた自民党に抱きつかれることなく、自立して公約実現できるか? 今後の運命がかかっている。

 4)業種別週間騰落ランキングでみると、10/25までの日経平均は「弱い」状況にある   ・       10/11~17  10/18~24    値上がり業種    9      2    値下がり業種   27     34     合計      36     36

  ・日経平均の寄与度が高い値がさの銘柄が下支えしている。       5)日経平均は衆院選挙後の10/28以降から上昇   ・上昇要因     ・米国ハイテク株高     ・決算発表シーズンインで好決算企業の株価はフォローの風     ・衆院選挙前の下落の反動高       ・投機的な海外筋が、衆院選前まで株価指数先物を売り込んでいたが、選挙終了に伴い急速に買い戻ししたため、日経平均は急騰した。       ・10/29は26業種(全業種36)が値上がり

  ・懸念材料     ・日経平均の急反発は、短期投機筋による先物買い戻しが主因であるため、彼ら海外勢による株高は長続きしない可能性があることに留意したい。     ・ただ、決算発表で人工知能(AI)関連で好決算を発表する企業が買われ、日経平均を押し上げると思われる。     ・一方、10/30は+500円超上昇したあと、終値では+373円へと上昇幅を縮小した。短期筋を含め利益確定売りの増加がみられ、売買高も7兆円を超え直近の最高値となったため、慎重な目線も必要かと思われる。     ・米国株式相場で10/30にハイテク株が下落した。日経平均は急騰したため、NYダウと比較して「高値の位置」となったことも懸念材料。

●3.パン最大手・山崎製パン、1月から食パンなど290品目値上げ、包装材料高騰(テレビ朝日)

●4.日野自動車、9月中間純損益▲2,195億円の赤字、認証不正で和解費用計上(時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4661 OLC       業績回復期待。  ・6383 ダイフク     好業績期待。  ・7011 三菱重工     防衛関連。

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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