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宇宙初期の超大質量ブラックホール、誕生の謎解明か NASAらの研究

財経新聞 / 2024年11月8日 9時47分

超大質量ブラックホールLID-568のイメージ図 (c) NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva/M. Zamani

 ブラックホールは、恒星質量ブラックホール(太陽質量の10倍程度)、中間質量ブラックホール(太陽質量の100倍~1万倍)、超大質量ブラックホール(太陽質量の100万倍以上)の3種に大別される。これ以外にも、理論上存在が予想されている素粒子サイズのマイクロブラックホールもあり、バリエーションは豊富だ。

 宇宙が誕生して間もないころ、既に超大質量ブラックホールが存在していたとされるが、なぜごく短期間にこのような大質量に成長できたのか、現時点で明確な理由を説明できない。

 NASAのジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)研究チームとチャンドラX線天文台の科学者らによる研究チームは11月4日、ビッグバンから15億年後に存在した、太陽質量の700万倍の質量をもつ超大質量ブラックホールLID-568に関する研究結果を発表した。その詳細は、「Nature Astronomy」に掲載されている。

 研究によれば、LID-568は誕生当初は太陽質量の100倍程度の質量しかなかったが、たった1200万年で太陽質量の700万倍の超大質量ブラックホールに成長したと考えられるという。この規模は我々の銀河系の中心に存在する超大質量ブラックホール(太陽質量の410万倍)を、はるかに凌駕するものだ。

 研究チームはLID-568のJWSTによる観測で、秒速500~600kmの猛烈な速度のエネルギー放出を捉えたという。天体には放射による圧力と重力のつり合いによって決まるエディントン限界と呼ばれる限界光度がある。だがLID-568の猛烈なエネルギー放出速度をもたらすX線レベルは、エディントン限界の40倍にも相当し、従来発見されていたブラックホールのそれをはるかに超える。

 このような猛烈なX線放出は、大量の物質降着現象の前に起こるとされ、今回観測されたエディントン限界を超える物質降着現象により、ブラックホールがごく短期間で超大質量に成長する理由が説明できるとしている。

 1200万年と言えば、人間にとってはとてつもない時間だが、138億年の宇宙の歴史では約1000分の1未満という短い時間だ。その間に7万倍に成長した事例発見は画期的と言えそうだ。

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