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飲食業と介護事業者の倒産、2024年は過去最多のペース続く

財経新聞 / 2024年11月9日 14時27分

 東京商工リサーチが2024年1月から10月における飲食業と介護事業者の倒産動向を発表した。新型コロナの支援策が終了したことに加えて、人件費や光熱費、原材料費の上昇などが原因で、どちらも過去最多の倒産件数となったことが分かった。

■飲食業倒産は年間で1,000件超えのペースに

 7日、東京商工リサーチが2024年1月から10月の「飲食業の倒産動向」調査を発表した。同時期における飲食業(負債1,000万円以上)の倒産件数は820件で、前年同時期の727件から12.7%増加した。また2020年同期の730件を超え、過去最多の倒産件数となり、年間で1,000件を超えるペースとなっている。

 その中で新型コロナ関連の倒産件数は、前年同時期比16.6%減の385件となり、新型コロナの影響は収まりつつあることが分かる。

 ただ新型コロナ下で実施された支援策が終了したことや、人件費の高騰、光熱費・原材料費の上昇が収益の減少につながった。また人手不足により、やむを得ず営業時間を短縮したり店舗を閉鎖したりせざるを得ない状況も、売り上げの伸長を妨げている。そのため飲食業界の淘汰は今後もしばらく続くと見られる。

■バー・キャバレー・ナイトクラブの倒産件数は約8割増

 業種別で最も倒産件数が多かったのは、ラーメン屋や焼肉店などの専門料理店で202件(前年同期比:17.44%増、以下同じ)。以下は、食堂・レストランが188件(8.04%増)、酒場・ビヤホールが156件(13.86%増)で、ここまでが倒産件数で100件超え。

 続いて、バー・キャバレー・ナイトクラブが72件(84.61%増)、喫茶店が50件(前年同数)、持ち帰り飲食サービス業が46件(前年同数)、宅配飲食サービス業が45件(22.41%減)、すし店が24件(33.33%増)、その他飲食店が22件(4.34%減)、そば・うどん店が15件(50.00%増)となっている。10業種中6業種で倒産件数が増加、前年と同数が2業種、減少したのは2業種だった。

■介護事業者も過去最多の倒産件数に

 同日、東京商工リサーチが2024年1月から10月における「老人福祉・介護事業の倒産調査」を発表した。同時期の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産件数は145件で、前年同時期の122件から18.9%の増加。さらに2022年同期の143件を超えて、飲食業と同様に過去最多の倒産件数となった。

 2021年頃に新型コロナ関連の支援策でひと息つけた事業者が、効果の切れた翌22年頃から運営が厳しくなった。そこに以前からの人手不足や物価高騰が加わり、一段と収益の圧迫に至った格好だ。

 介護事業は収入の柱となる介護報酬が定まっているため大幅な待遇改善が難しく、今後も人手不足は続くと見られる。そのため効率化が進む大手業者と中小の零細業者との格差は広がり、現在以上の行政からの待遇改善策や支援策がない限り、今後も中小の事業者を中心に倒産が増えると見られる。

■訪問介護の倒産件数は23年を超えて年間最多に

 業種別で最も倒産件数が多かったのは、訪問介護の72件。ついで、通所・短期入所の48件、有料老人ホームの11件、その他の14件となっている。特に最も倒産件数が多かった訪問介護は、年間で倒産件数が最も多かった23年の67件を既に超えており、24年に改定した介護報酬マイナスの影響が出ている可能性を示唆している。

 事業規模では資本金1,000万円未満が125件(全体に占める割合:86.2%、以下同じ)、従業員10人未満が121件(83.4%)、負債1億円未満が114件(78.6%)と規模の小さな事業者の苦境が明確になっている。

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