宇宙の膨張は、約50億年前に相対性理論から乖離か? ジュネーブ大の研究
財経新聞 / 2024年11月13日 16時39分
ユークリッド宇宙望遠鏡によって観測された銀河団 Abell 2390 による遠方銀河の重力レンズ効果 (c) ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi
宇宙が膨張していることは、現在では一般によく知られている。しかも地球から遠ければ遠いほど、膨張速度は速く、それが光速を超えるほど遠ければ、その天体は地球から観測できない。
最近の研究では、宇宙の膨張が、空間とそこに存在する物質の質量から推定できる速度を、はるかに超えていることも判明している。この矛盾を解消するために科学者らは、ダークエネルギーなる仮想の存在を定義し、その本質を探るべく研究が進められている。
ジュネーブ大学は11日、質量による時空の歪み量(重力レンズ効果)を、アインシュタインが唱えた一般相対性理論に基づき計算し、その結果を地球から35憶~70憶光年離れた銀河の観測結果と比較した結果を公開した。
研究の詳細は、科学論文サイト「Nature communications」で公開されている。
銀河までの距離は、地球からどのくらい遠いかを示すだけでなく、観測している銀河が存在していた年代も現している。例えば地球から35億光年離れた銀河なら、我々はその銀河の35億年前の姿を見ていることになる。
そして驚くことに、地球から60億光年以上離れた銀河の観測結果は、一般相対性理論が導く結果に一致していたが、35億光年離れた銀河や50億光年離れた銀河の観測結果は、一般相対性理論が導く結果から、僅かに乖離していることが判明したという。
つまり、宇宙が誕生して60億年程までの間は、この宇宙の膨張メカニズムは一般相対性理論で説明がついたが、それ以降、何らかの原因で現在のような加速膨張が始まったことになる。
もしこれが正しければ、いまから50億年ないし60億年前に宇宙で何らかの事件が起こり、ダークエネルギーが機能し始めたことになる。そのころ、宇宙でどんな事件が起こっていたのかを探ることで、ダークエネルギーの本質を解明していく手掛かりになるかもしれない。
今回の研究チームは、1年前に打ち上げられたユークリッド宇宙望遠鏡による観測データの分析に今後着手し、さらに詳細な検証を実施していくという。これにより、従来よりも正確な重力レンズ効果の測定が可能となり、向こう6年間で約15億個の銀河が観測される予定だ。
この記事に関連するニュース
-
アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな重力の謎
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月15日 14時0分
-
限界の40倍以上で成長? 初期宇宙の巨大なブラックホールをウェッブ宇宙望遠鏡が観測
sorae.jp / 2024年11月8日 21時53分
-
ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した小マゼラン雲の散開星団「NGC 602」
sorae.jp / 2024年10月28日 20時57分
-
「いて座A*」の降着円盤らしき構造、EHTの解析データの再解析から国立天文台などが確認
マイナビニュース / 2024年10月28日 10時55分
-
ハワイの望遠鏡で撮影された“ペルセウス座”の楕円銀河「NGC 1270」
sorae.jp / 2024年10月27日 20時33分
ランキング
-
1【冬の乾燥対策に】ドラッグストアで手軽に買える! ハンドクリーム5選
マイナビニュース / 2024年11月21日 17時0分
-
2書店に行くとなぜか急にトイレに行きたくなる「青木まりこ現象」とは?
マイナビニュース / 2024年11月21日 16時2分
-
3【風呂キャンセル界隈】医師「心身が疲れた時こそ入浴を」 - 安全で健康的な方法とは
マイナビニュース / 2024年11月21日 11時0分
-
4とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
5生産性を上げ、まわりと差がつく5つの栄養素 ライバルを出し抜くために必要なのは「食事」
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 10時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください