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シェアリングビジネスを担うスペースマーケットの収益急回復基調をどう読むか

財経新聞 / 2024年12月8日 14時32分

 スペースマーケット(4487、東証グロース)。住宅や会議室などの空きスペースの、貸し手と借り手のマッチングサービスを展開している。

 2019年9月12日に1306円の初値をつけ、上場。公開公募価格590円に対し、716円高と大きな市場人気を背負っての公開だった。

 が初決算の2019年12月期こそ「51.1%の増収、4300万円の営業利益」だったが、翌20年12月期は「コロナ禍」が待ち構えていた。業態には猛烈なアゲインストの風。「7.9%の減収、1億2700万円の営業損失」。なにやらその後のビジネスの在り様を暗示するような旅立ちだった。

 21年12月期は「12.28%増収、5900万円の営業利益」と再スタートの気配を見せた。が22年12月期は0.4%増収も、「1億1400万円の営業損失」。決算資料は、こう説明している。

 「利用スペース数は堅調に推移しているが、1人でのスペース利用の割合が増加しており、利益率は減少した」  「スペースシェアの普及に伴い競争環境が激化し利用者獲得構造に変化が生じ、採算の伸び悩みに直面した」

 当時一般社団法人シェアリングエコノミー協会/情報通信総合研究所の共同調査で、2022年のシェアリングエコノミー規模は2兆5000億円を超え「2032年度には15兆円規模拡大する」と推定されていた。

 前記の決算資料の指摘は、「新たな事業構造(構成)の枠組み創造なくしては、サバイバル競争に勝ち残れない」と解釈することが可能だ。

 そんな環境の中でスペースマーケットの収益動向に、事業姿勢に着目すべき変化が表れてきている。

 23年12月期は「26.9%増収、1億100万円の営業利益」。そして今24年12月期は「15.5%の増収(18億6600万円)、67.2%の営業増益(1億7000万円)」計画で立ち上がり、第3四半期の実績は前年同期比「28.9%増収、456.5%営業増益」。

 第3四半期の決算説明会資料には「トピックス」とし、「リアルイベント需要のニーズ増加に伴い、貸し会議室などの大会場レンタルスペースの掲載を強化/法人利用が2年で2.3倍」と記されている。

 象徴的出来事として貸し会議室大手のティーケーピー(3479、東証グロース)が、保有株を5.97%から21.23%に引き上げている。またスペースマーケットでは、「住友不動産ベルサールや東急グループの貸し会議室掲載、ビジネス用途向け拡大」という方向を公にしている。

 本稿作成中の時価は330円水準。収益回復基調入りを勘案しても、予想PER30倍強には割高感を覚える。しばらくは「様子見」が賢明か・・・

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