コンタクトレンズ首位:シードが中計達成=PBR1倍超を明示
財経新聞 / 2024年12月21日 11時22分
シード(7743、東証プライム)。自社製の1日使い捨てを主軸とした、国内のコンタクトレンズで首位級(シェア9%超)。
日本で初めてコンタクトレンズの研究を行った「東京コンタクトレンズ研究所」を母体に、1957年創業。62年に「マイコン(マイ・コンタクトレンズ)」としてブランド化。初商品は70年の大阪万博のタイムカプセルに納められている。
文字通り、日本のコンタクトレンズ業界を牽引してきた。72年に「マイコンソフト(ソフトタイプ)」/84年に「マイコンQ₂(酸素透過性ハードタイプ)」/92年に「コンセプトF(煮沸消毒不要)」etcを世に送り出してきた。近年では「2004年に国産初の2週間使い捨てソフトレンズ」、「09年には初の1日使い捨てソフトコンタクトレンズ」を開発にしている。
目のケアを怠ると最悪の事態(失明)にも陥りかねない。
ここ数期間の収益動向は、こんな具合だ。
2023年3月期は6.1%増収も、「46.5%営業減益」と大幅な低下となった。決算資料では「販管費・一般管理費の削減に努めたが・・・ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に起因したエネルギー価格や原材料価格の高騰の影響に製造原価の上昇、円安による商品輸入原価上昇等があり・・・」とした。
「想定不可能だった原因による、という認識か」という問いに浦壁昌廣社長は「電力やガスの値上がりで・・・ご拝察頂ければ」とした。
24年3月期は「5.9%増収、225.2%営業増益、3円増配15円配」と切り返した。そして今3月期は「11.1%増収(360億円)、7.3%営業増益(22億円)」計画。が第2四半期実績は前年同期比5.5%の増収も「33.1%営業減益」。
「Pureシリーズの国内外用の乱視と遠近両用のコンタクトレンズで供給能力を超える需要が継続した結果、3億円から3億5000万円水準が適正と考える在庫が逼迫し納期の遅延が発生し」と説明された。「環境を見誤った、とも受け取れるが・・・」という問いに浦壁氏は「需要への供給体制の遅れ。指摘は否定できないが遅れは取り戻しつつある」とした上で、「本社工場の2号棟別館が、春に竣工した。年間700万枚が新たに生産可能になった」とした。
シードでは至27年3月期の中計と取り組んでいる。「売上高410億円(23年3月期比34%増)」「営業利益28億円(4.45倍)」「配当性向30~40%を目標とした配当の実施」を掲げている。
浦壁氏と遣り取りをした12月10日のシード株の終値は470円台。予想税引き後配当利回り2.5%余。気になるのはPBR0.81倍。中計の達成は「PBR1倍回復の道程と捉えてよいのか」と質問に浦壁氏は、首を縦に振り頷いた。推移を見守りたい。
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