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中計で「資本コストと株価を意識した経営」を掲げる、巴コーポの真意はプライム移行

財経新聞 / 2024年12月24日 9時32分

 巴コーポレーション(1921、東証スタンダード。以下、巴コーポ)。体育館など大空間の創造建築で先駆。電力鉄塔でも実績。そんな巴コーポは1917年(大正6年)10月、創業者:野澤一郎氏により巴組鐵工所として産声を上げた。巴コーポは一口に言えば総合建設業企業だが、語られる時に必ず指摘されるのが「開発技術」の存在。

 象徴として語られるのが、「ダイヤモンドトラス」であり「ジャッキアップ回転架設工法」。野澤氏を中心に開発されている。前者は大空間の創造を可能にした、無柱大張間建築工法。体育館や博覧会などで多く採用され、高い評価を得ている。後者は道路建設分野の橋梁で、世界で初となる工法。そうした開発工法の実績が、「体育感なら/橋梁なら・・・」という認識を広め実績に貢献している。

 業態ゆえに予算ビジネスの側面は否定できない。一概に好調・右肩上がりの収益動向とは言い難い。しかしならして捉えると、順調。それは中長期視野の株価動向にも見て取れる。

 本稿作成時の時価は900円台終盤(予想税引き後配当利回り2.3%余)。予想PERは3倍弱と人気薄の感さえ覚えるが、過去10年近くの修正済み株価パフォーマンスは2倍強。中長期構えの投資家向きに結果を残している。収益動向はこんな具合。

 2021年3月期はコロナ禍で「26.7%減収、70.7%営業減益、2円減配8円は」。22年3月期は「9.0%増収、70.7%営業増益、6円増配12円配」と切り返し、23年3月期も「12.2%増収8.1%営業増益、2円増配14円配」。が前3月期は「7.3%減収、16.0%営業減益」も2円増配16円配。

 そして今期は「4.0%減収、5.6%営業減益、8円増配24円配」で立ち上がり、「5.0%増収(350億円)、10.1%営業増益(35億円)」に上方修正。第2四半期実績は「167億5400万円、18億4100万円」と上々の通過。

 至28年3月期の中計が進行中だが「完工高400億円(24年3月期370億円)、営業利益40億円(10%増)、ROE10%(4P上昇)、PBR0.60倍(0.45倍)、利益剰余金420億円(324億円)」を掲げているが、同時に興味深い計画も公表。

 前記のこの間の配当動向に示されているように「増配」を続けているが、中計では「26円配(12円配)/配当性向30.0%(20.7%)」としている。かつ中計では、「株価予想」を示している。理由は「プライム市場の移行」。

 中長期構えの妙味を、改めて示唆しているとみるがどうか・・・

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