相場展望12月19日号 米国株: NYダウ、金利引下げ回数減とインフレ再加速懸念で、大幅安 日本株: 朝高・終値安の「陰線」が続く、年末のお化粧買いに期待
財経新聞 / 2024年12月19日 13時16分
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)12/16、NYダウ▲110ドル安、43,717ドル 2)12/17、NYダウ▲267ドル安、43,449ドル 3)12/18、NYダウ▲1,123ドル安、42,326ドル●2.米国株:NYダウ、金利引下げ回数減とインフレ再加速懸念で、10日連続下落は46年ぶり
1)NYダウ、金利高止まりで景気の重荷の警戒感で、10 日連続の下落は47年ぶり ・NYダウは12/4に史上最高値45,000ドル台に到達して以降、下落が続いている。 ・続落の要因 ・トランプ氏の減税や財政出動によるインフレ(物価上昇)再燃への懸念。 ・関税の大幅引き上げによる、世界貿易の混乱懸念。 ・トランプ氏の政策で、米国経済悪化とGDP減の懸念。2)米国の中央銀行・FRBは12/18のFOMC会合で▲0.25%利下げ決定も、物価上振れのため来年の利下げ回数は4⇒2回に減少を想定 ・FRBは、2025年の利下げ回数の減少を見込んだ。 ・米国景気と雇用を維持するため金融緩和を続けるとしたが、 ・インフレ(物価上昇)が想定したよりも再加速し懸念が増したため、 ・今年12月は▲0.25%利下げを決定をし、3会合連続で実施した。 ただ、来年2025年の利下げ回数を、当初4回を2回の減少と見込んだ。
3)NYダウは12/18にトランプ政策の負とFRBの利下げペース鈍化を受け大幅安 ・12/18のNYダウは▲1,123ドル安。
4)NYダウは12月に入って13営業日で、1勝12敗と極端な続落 ・12月営業日の騰落の推移 12/2 3 4 5 6 9 10 11 12 13 16 17 18 ● ● 〇 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ・NYダウは、12月始め⇒12/18の下落幅は▲2,584ドル安と大幅下落 ・11/29 12/18 下落幅 下落率 44,910ドル ⇒ 42,326 ▲2,584ドル安・▲5.75%下落
5)NYダウは今まで「利下げ期待」で大幅高を長く続けてきたが、流れが一変 ・米国の金利引下げが続くとの期待で米国株は買われてきたが、金利低下回数が減少との見方へと変化した。 ・ところがパウエルFRB議長の記者会見を受け、株価上昇の根拠が崩れたと市場が受け止めて12/18の▲1,123ドル安を招いた。 ・もともと、米国株式市場では12月初めからの軟調が続いていたのは、FRBの利下げ基調の変化を嗅ぎ取っていたからである。それが現実となった驚きが12/18の大幅下落となっただけである。 ・「懸念が現実化した」だけであり、市場の不安心理が落ち着けば反騰の芽が出ると想定する。今後の注目点は、トランプ次期政権の政策の負の局面の動向次第とみる。
●3.米国12月製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.3、前月49.7・予想49.8から低下(ロイター)
1)来年、関税が引き上げられれば、輸入原材料の価格が上昇するとの懸念が背景にある。 2)製造業PMIが50を下回ると、米国経済の10.3%を占める製造業の縮小を示す。 3)一方、12月のサービス業PMIは58.5と、3年2ヵ月ぶりの高水準。 前月の56.1を上回った。 企業はトランプ次期政権による規制緩和や減税に期待している。●4.米国政権移行チーム、EV支援打ち切り・排ガス規制緩和を勧告(ロイター)
●5.独・フォルクスワーゲン(VW)、危機に直面(日テレ)
1)世界販売台数2位の自動車メーカー・フォルクスワーゲンは、EV需要の減少・コストの上昇・中国メーカーとの競争に直面し、9月にドイツ国内の3工場閉鎖と数万人の従業員解雇の計画を示した。労働組合は猛反発し、ストライキが抗議活動が続いている。 2)労使交渉が難航し、先行き不透明なことから株価は暴落。フォルクスワーゲンの持ち株会社・ポルシェは12/13、議決権の約5割を保有するVW株について最大200億ユーロ(3兆円超)の減損損失を計上する可能性があると発表した。■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)12/16、上海総合▲5安、3,386 2)12/17、上海総合▲24安、3,361 3)12/18、上海総合+20高、3,382●2.中国、11月の金融市場から過去最大となる約7兆円の資金流出(ブルームバーグ)
1)11月は▲457億ドル(約7兆円)の純流出となった。 2)要因は、関税60%・人民元安・中国経済の低迷・米国との金利差が拡大。●3.中国、2025年財政赤字目標をGDP比4%に引上げ=関係筋(ロイター)
1)経済成長率目標は5%前後で維持することした。 2)これらの目標は、通常3月の全国人民代表大会(全人代)まで公表されず、その前に変更される可能性もある。■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)12/16、日経平均▲12円安、39,457円 2)12/17、日経平均▲92円安、39,364円 3)12/18、日経平均▲282円安、39,081円●2.日本株 : 朝高・終値下落の「陰線」が続く、日経平均は年末のお化粧買いに期待
1)短期筋の買いが続かず、円安もデメリットを意識し、日経平均は失速 ・朝方は強含むも、失速して下げに転じ終値では朝高から低下する展開。 ・株価にとって「円安は追い風」であったが、その方程式が崩れている点に着目したい。「円安の進行が、株価の追い風になっていない」のである。2)朝高・終値下落の「陰線」が続く ・12月の相場の特徴である「朝高⇒終値安」が続いており、相場全体としては力強さに欠ける展開が続いている。 ・「陰線」が続く相場からの脱局が必要だが、目先、この難局を乗り越えられる様相はみられない。 ・海外短期筋によるサヤ抜きを狙った日経平均先物の買いは38,000円近くで始まったが、40,000円にタッチしてからは防戦一方となっている。株価先物の動向をみると、海外投機筋は買いの建て玉をまだ有しており、売り逃げできていない。問題は、海外短期筋がいつ投げ売りしてくるか? ・相場は「陰線」が続く状況が続いているため、慎重の継続が賢明とみる。
3)12/13から日経平均は4日連続下落が目立つ ・日経平均の推移 12/12 ⇒ 12/18 下落幅 下落率 日経平均 39,849円 39,081 ▲768円安・▲1.92%安 ・日本株式市場は年末近くまで、米国株の動向をみながら「低調」が続くと予想 ・今年年末のお化粧買いによる上昇までは、神経質な相場を予想。 ・決算発表シーズンを迎える来年1月中旬以降に期待した相場展開に期待したい。 ・なお、トランプ次期政権の政策動向は引き続き注視していきたい。
●3.ホンダ、日産自と経営統合に向けて協議
1)昨年1年間の世界販売台数はホンダが398万台、日産が337万台で、合わせると735万台で、世界3位の巨大グループが誕生することになる。●4.トランプ氏と孫正義氏が会見、孫氏側が米国に15兆円投資・10万人雇用創出(NHK)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7269 スズキ 業績堅調。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
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