相場展望1月6日号 米国株: 1/3株上昇は、自律反発の範囲⇒本格反騰につながるか注目 中国株: 年初1/2~3取引では10年来で最悪の発進 日本株: 2025年は、日銀の追加利上げが焦点に
財経新聞 / 2025年1月6日 11時27分
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)1/2、NYダウ▲151ドル安、42,392ドル 2)1/3、NYダウ+339ドル高、42,732ドル●2.米国株:1/3の米国株上昇は、自律反発の範囲⇒本格的な反騰につながるか注目
1)NYダウ続落、アップルやテスラの下げが重荷 ・米国・主力銘柄の株価推移 アップル テスラ エヌビディア 2024年01/03 182.91ドル 237.93 47.99 :昨年年初 12/26 259.02 12/07 479.86 11/07 148.88 :直近高値 2025年01/03 243.36 410.44 144.47 :今年1/3 1年前比 +33.0%高 +72.5%高 +201.0%高・主力3銘柄は年間で米国株を牽引した。
・ただ、今年1/2の主力3銘柄の下げが、米国株全体の重しになっている。1/3のNYダウ+339ドル高と反発しており、今後の勢いに注目したい。
2)米国の製造業は米国経済の10.3%を占める ・米国の強さの根源は、(1)ハイテク (2)金融 (3)消費 にある。反して、製造業は賃金などの高さから他国へ流出し、米国経済の10%程度にとどまっている。
・よって、製造技術力は見劣りするようになってしまった。USスチールがその代表的な事例の1つ。
・トランプ次期大統領の狙いの1つに、製造業復活があると思われる。
3)USスチール、1/3に日本製鉄の買収阻止発表を嫌気し▲6.5%安と売られた ・USスチール株価の推移 12/31 33.99ドル 01/02 32.60 01/03 30.47:1/2比▲6.53%安 昨年12/31比▲10.35%安
4)米国金利は1/3に上昇、ただし米国株は逆らって上昇 ・米国金利の推移 1/2 1/3 上昇幅 02年金利 4.248% 4.287 +0.039%高 10年金利 4.563 4.601 +0.038%高
・金利上昇は、株式が相対的に割高を意識させるため、株価の天敵である。
・投資家の多くが、投資収益率を4%を期待して、株式を購入している。債券の利回りが4%を超えると、債券の魅力が増す。株式で4%超の利回りを得るには、リスクが増大する。
・1/3の10年物債券利回りが「4.6%」を超えた。投資資金が株式⇒債券に流れることに注視したい。
5)1/3の米国株上昇は、自律反発の範囲⇒本格的な反騰につながるか注目 ・12/27~1/2の4日間でNYダウは▲933ドル下げた。そのため、自律反発狙いの買いを狙って株買いが入った。今後、株買いが継続的に入るか、注目したい。
●3.リッチモンド連銀総裁、物価上昇圧力を踏まえると制約的な政策の維持が必要(ロイター)
●4.米国新車販売、2024年は1,600万台に迫る、HV人気で5年ぶり高水準(ロイター)
1)メーカー別前年比 GM +4.3%増、270万台 トヨタ +3.7%増 フォード +4.2%増 *ステランティス、テスラは前年比で減少した。●5.米国12月全米供給管理協会(ISM)製造業景気指数49.3、9カ月連続節目50割れ(フィスコ)
●6.米国エヌビディア、2024年時価総額+2兆ドル増、AI向け需要が堅調(ロイター)
1)2023年末の1兆2,000億ドル⇒2024年末は3兆2,800億ドル。●7.テスラ、2024年世界販売▲1.1%減で初の前年割れ、中国BYDが追い上げ(ロイター)
1)2024年のテスラの世界販売台数は179万台、中国BYDは+12.1%増の176万台。 2)テスラの減速要因は、中国EV大手のBYDとの競争激化と欧州でのEV購入向け補助金の打ち切り。テスラのラインアップが新味に欠けるほか、手頃な価格のモデルが入手しやすくなっている状況が重しになった。●8.米国マイクロソフト、AIデータセンター建設に2025年に800億ドル(ロイター)
●9.トランプホテル前のテスラ車爆発とニューオリンズシ死傷事件、FBIが関連性を捜査(ロイター)
1)いずれもカーシェアリングサービスのTuroからレンタルされた。■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)1/2、上海総合▲89安、3,262 2)1/3、上海総合▲51安、3,211●2.中国株:年初1/2~3取引では10年来で最悪の発進
1)1/2~3、上海総合株価指数は▲4.17%安、年初取引では10年来で最悪の発進 ・上海総合の推移 2024年12/31 3,351 2025年01/03 3,211 ▲140安・▲4.17%安 ・要因 ・財新・12月製造業PMIが50.5と、予想と前月を下回り、景気停滞懸念。 ・トランプ氏による追加関税への懸念。●3.中国・公務員に10年ぶり大幅賃上げ、中国経済の活性化の一環(ロイター)
1)対象は中国国内の数百万人に対し異例の賃金引上げを実施した。中国南部の教員と公務員は、約10%の昇給を受けたと話した。給与の引上げは昨年7月に遡って行われ、ボーナスのような一括支払という。地方省政府の財政状況で昇給幅は異なる。2)なお、公務員全員は48百万人。
3)前回、全国の公務員の給与引上げは2015年。汚職撲滅と消費者の購買力向上に向けた取り組みの一環として地方公務員の給与を30%以上引上げた。
●4.財新・中国製造業PMI、12月は50.5に低下、前月51.5・予想51.7を下回る(ロイター)
1)海外からの受注が減少し、全体の売上を押し下げた。●5.中国の超富裕層が海外脱出を画策、中国が海外投資益に最大20%課税へ(THE GOLD ONLINE)
1)中国政府が進める「共同富裕」政策で、海外事業1,000万ドル(約15億円)以上の超富裕層の投資収益に最大20%課税。■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)1/2、休場 2)2/3、休場●2.日本株 : 2025年は、日銀の追加利上げが焦点に
1)2025年は、日銀の追加利上げが焦点に2)本日の日経平均は、「重い展開」を予想 ・日経平均は昨年12/25~27の3日間で+1,245円高となり、12/30に▲386円安と反落したものの、依然として割高感が残っており一段の下げが求められている。 ・ボックス圏相場のなかにおり、12/27に天井圏の40,281円を付けた。12/30に高値警戒感から反落したものの、底値圏の38,000円には依然として高水準に位置している。 ・短期筋の海外投機筋の利益確定売りを誘いやすい日経平均の高さにある。 ・日本・米国ともに金利上昇局面にあり、株価は相対的に高値意識がされやすい。 ・以上の条件から、日経平均は重い展開になると予想する。
●3.主要企業の48%が値上げの意向、「前年と同程度の物価高が続く」家計負担は増大(共同通信)
●4.バイデン大統領、日本製鉄のUSスチール買収阻止を発表(ロイター)
1)日本製鉄は2023年12月にUSスチールを141億ドル(約2兆円)で買収すると発表。世界で最も鉄の消費が多い米国市場で成長を模索する計画だった。2)業績低迷が続くUSスチールは、日本製鉄による買収が実現しなければ資金が不足し、主要工場の生産を止める可能性があると訴えてきた。鉄鋼生産が減少し、「国家安全保障上のリスクがある」とホワイトハウスに伝えたという。
3)日本製鉄に買収未完違約金5億6,500万ドル(約890億円)支払義務か(読売新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・3038 神戸物産 業績上昇期待。 ・7309 シマノ 業績底入れ期待。 ・7912 大日本印刷 株価底入れ期待。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
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