世紀東急の課題は、至27年3月期の中計クリアと考える根拠
財経新聞 / 2025年1月19日 15時21分
世紀東急工業(1898、東証プライム市場)。1950年1月、東急建設の道路舗装工事部門が分離し設立された。
アーバンクール(遮熱性特殊塗料を舗装体表面に塗布することで、可視光線や近赤外線を通常のアスファルト舗装より多く反射できる特殊舗装技術)や、アーバンレッドレーバー(間伐材や国内針葉樹皮など未利用資材を有効活用した景観舗装)などなど、多様な特殊資材の開発などにも特色(詳細はホームページを参照)。
がいま最も注目すべき点は、2031年3月期の長期ビジョン「売上高1100億円、営業利益80億円、純益50億円」を見据えた至27年3月期の中計達成の可否であろう。というのも・・・
この間の世紀東急の収益動向は22年3月期「5.4%減収、47.8%営業減益」、23年3月期「8.6%減収、39.6%営業減益」。防災・減災/国土強靭化加速対策を背景としながら、露・ウクライナ戦争勃発や円安進行による原油価格高で「アスファルトなど主要資材上昇・高止まり」の前に地団太を踏まざるをえなかった。
対して24年3月期は「4.7%減収、53.3%営業増益、60円増配90円配」と切り返す動きとなったが、この期は前中計の最終期。依然高止まりのコスト高に大型工事の進捗の遅れも加わり、掲げていた「計画」の売上高・利益はともに未達となった。
そして24年5月8日に発表された至27年3月期の新規中計では、「売上高1000億円、営業利益60億円、純益40億円、ROE9.5%」を掲げた。株主還元方針として「DOE(純資産配当率)6%目標」とした。理由の如何に関わらず2回連続して中計未達は、マイナスサプライズと言わざるをえない。長期ビジョン達成にも「?」が、灯ってくる。
本稿作成中の時価は1400円台終盤。予想税引き後配当利回り4.8%余。昨年来高値(2月:2042円)/安値(8月1406円)からの戻り率は依然低い。無論、押し目買い姿勢で好配当利回りを享受するのも一法だろうが、これまでの持ち味だった中長期の株式投資としての魅力を削ぎかねない。昨年末まで10年間の修正済み株価パフォーマンスは2.5倍強。
「圏央道の舗装工事受注(38億円受注)」「採用順調(単独)で従業員1000人超」と、事業の順調さ/伴う従業員体制整備が伝えられている。「仕事と育児の両立支援⇔異動免除/早期復職制度運用」といった「社員への優しさ」も見せている。反映するように、「社員持ち株会」は第5位の大株主。
「中長期投資対象」として見据え続けられるためにも、スタートする新たな中計はなにがなんでも達成しなくてはなるまい。
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