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相場展望1月16日号 米国株: インフレ懸念後退し、株指数は大幅高⇒好感度が過大、短期に終息予想 日本株: 次の焦点は、(1)日銀の利上げと(2)円高(3)原油高

財経新聞 / 2025年1月16日 14時25分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/13、NYダウ+358ドル高、42,297ドル  2)1/14、NYダウ+221ドル高、42,518  3)1/15、NYダウ+703ドル高、43,221ドル

●2.米国株:インフレ懸念後退し、米国主要株指数は大幅高⇒好感度が過大、短期終息予想

 1)雇用統計発表後、長期金利の上昇が止まらず、1/13に4.8%台に⇒ハイテク株安

 2)米国12月卸売物価指数(PPI)は前年比+3.3%上昇、11月は+3.0%、伸びが加速

 3)インフレ再燃の芽が膨らみ、FRB金利引下げは後退、むしろ、上昇圧力が増す

 4)1/15、CPIのコア指数が予想を下回り、金利引下げ期待で株価は大幅高

 5)インフレ懸念が後退し、米国主要株指数は大幅高⇒好感度が過大、短期終息予想   ・1/15、米国主要株価指数の上昇率     NYダウ     +1.65%高、昨年11/6以来の大幅上げ     S&P500種    +1.83     ナスダック総合 +2.45     ラッセル2000  +1.99     PHL半導体(SOX)+2.13

  ・12月の米国消費者物価指数(CPI)のエネルギー・食品を除くコア指数は前年同月比で+3.2%増であったが、前月の+3.3%よりも鈍化した。その鈍化を受けて、インフレ懸念が後退したと好感して、株買いが入った。

  ・しかし、上記の視点は「短絡的」である。米国連邦準備理事会(FRB)の物価目標が+2%であり、コア指数が前年比+3.2%は「高水準の範囲」であることに違いはない。12月卸売物価指数(PPI)は+3.3%と、11月の+3.0%から伸びが加速している。

  ・米国金利は1/15に低下したが、金利急伸後の一服に過ぎない。

  ・市場が冷静になれば「株価は現実」をみた評価に落ち着くと思われる。12月CPIが11月から鈍化したという視点で好感して大幅株高したのは違和感がある。

●3.米国政府がAI半導体輸出に数量制限をする規制強化、同盟国は対象外(ロイター)

 1)新規制は、多くの国への半導体輸出に数量で上限を設ける。   ・米国と同盟国には無制限のアクセスを認める。一方、中国・ロシア・イラン・北朝鮮への輸出遮断は維持する。新規制は120日後に発効する予定。   ・規制は各国を3つの階層に分ける。日本・英国・韓国・オランダなど18カ国程度はティア1で、基本的に規制対象外。シンガポール・イスラエル・サウジアラビア・アラブ首長国連邦など約120のティア2国は、国別上限に直面する。中国・ロシア・イランなどは技術移転も全面的に禁じる。

●4.トランプ次期大統領、関税・海外収入徴収の新組織「外国歳入庁」新設へ(ロイター)

●5.メタプラットフォームズ、成績不振の下位5%の社員削減する計画(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)1/13、上海総合指数▲7安、3,160  2)1/14、上海総合+80高、3,240  3)1/15、上海総合▲13安、3,227

●2.米国、中国企業37社を禁輸リストに追加、ウイグル人権侵害疑惑で(ロイター)

 1)米国は1/14、繊維・鉱業・太陽光発電などの中国企業37社からの輸入を禁止した。  2)今秋の追加により、2021年12月のウイグル強制労働防止法の成立以来、リストに載った企業数は144社となった。

●3.中国、人民銀行など3金融規制当局の職員給与を半減へ(ロイター)

 1)中国の主要金融規制当局である、中国人民銀行(中央銀行)・国家金融監督管理局(NFRA)・中国証券監督管理委員会(証監会)の職員給与が今月から約半減に削減される。2023年に発表された機構改革の一環で他の公的機関職員と水準を合わせるのが目的という。

 2)関係者によると、3当局の局長級以上の幹部職員は▲60%の減給、部長級は▲50%それより下位の職員は▲40%削減される。

●4.中国の新規融資、昨年は13年ぶり減少、資金需要の低迷が浮き彫り(ブルームバーグ)

 1)2024年の新規融資は18兆900億元、2023年は22兆7,500億元と前年比▲20.5%減。

 2)デフレと住宅市場の低迷が長引くなかで、資金需要の弱さを浮き彫りにしている。

●5.中国・自動車輸出、今年+5.8%増、2024年の+19.3%増から減速(ロイター)

 1)中国汽車工業協会(CAAM)の幹部は、自動車下取り補助金制度が今年も継続することが業界にとって恩恵になるが、弱い内需、激しい競争、外圧の高まりが市場に深刻な影響を及ぼすと、述べた。

●6.中国の貿易黒字、昨年は155兆円、前年比+21%増加、2年ぶり過去最大更新(読売新聞)

●7.中国が世界造船業界を不当に支配、米国政権が調査報告書を発表へ(ロイター)

 1)1,500億ドル規模の世界造船業における中国のシェアは、2000年で約5%だったが、2023年は50%以上に拡大。主な要因は、政府補助金が寄与したことを示すデータを示した。さらに、人件費で深刻かつ人為的な抑制をしていると指摘した。

 2)1980年代初頭、米国には300以上の造船所があったが、現在は20しかない。

 3)バイデン米国政権は、中国が不公平な政策や慣行を用いて世界の海運・物流・造船セクターを乱していると結論付けた。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/13、祝日「成人の日」で休場  2)1/14、日経平均▲716円安、38,474円  3)1/15、日経平均▲29円安、38,444円

●2.日本株:次の焦点は、(1)日銀の利上げと(2)円高(3)原油高

 1)中国関連銘柄の決算発表に注目

 2)10年物長期金利は1/14、1.250%まで上昇、13年9ヵ月ぶりの高水準

 3)次の焦点は、(1)日銀の利上げと(2)円高(3)原油高   ・日銀は1/23~24に金融政策決定会合を開催する。そこで金利引上げについて議論するという。

  ・債券市場では先回りして、1/15に10年物債券利回りは+1.252 %まで上昇した。

  ・10年物利回りの上昇で、日本・米国長期金利差は縮小し、円相場は円高・ドル安に転換した。

  ・日本は貿易立国であるだけに、円高は企業業績にとってマイナス要因となる。

  ・つまり、株安要因となりやすい。

  ・WTI原油先物価格が1/15に80ドル台に乗せた。原油価格の上昇も、日本にとってはコスト高となる。

  ・日本の株式市場にとって、「逆風」が吹いてきた。

●3.米国投資ファンドのベイン、航空部品メーカーのジャムコをTOB買収へ(NHK)

●4.去年の全国倒産件数9,900件余、前年比+16.5%増、11年ぶりの高水準(NHK)

 1)原材料費や人件費の上昇分を価格に転嫁できないことや、深刻な人手不足が、倒産につながったケースが増えている。  2)企業にとってコストアップにつながる厳しい外部環境が好転する兆しはなく、2025年も引き続き、企業倒産の増加局面が続く見通し。

●5.2024年「早期・希望退職募集」、3年ぶり1万人超、募集者数は前年の3倍に急増(東京商工リサーチ)

 1)オムロン1,000人、資生堂1,500人、シャープ500人、リコー1,000人など。  2)直近決算で黒字企業が34社と約6割を占めた。  3)2025年も上場企業の早期・希望退職の募集が加速する可能性が高い。

●6.松竹、通期予想の営業赤字▲9.4億円(前年は+35億円黒字)に下方修正 (ロイター)

 1)演劇も映画も低調なため。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1605 INPEX      原油価格上昇  ・2413 エムスリー    業績堅調  ・9716 乃村工芸     業績好調

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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