トランプ氏のグリーンランド購入案、その狙いは?
財経新聞 / 2025年1月20日 16時14分
●トランプ氏がグリーンランド獲得を目指すと表明
20日に就任式を迎える、米トランプ次期大統領が、デンマーク領グリーンランドの獲得に意欲を示している。トランプ氏は、グリーンランド獲得のためには軍事行動や経済措置を取ることも辞さないという姿勢を示しており、抵抗すれば関税を課す可能性も示唆している。
デンマークの製薬大手ノボルディクスなどのロビー団体は深い懸念を示しており、デンマークのフレデリクセン首相もトランプ氏との電話会談で、「グリーンランドの独立はグリーンランド自身が決定する」と伝えた。
カナダに米国の51番目の州になることを提案し、パナマ運河の返還を求めるなど、就任前から物議を醸すトランプ氏だが、グリーンランド購入案の本気度と真の狙いは何だろうか?
●グリーンランドの歴史と米国との関係
グリーンランドは、980年ごろにアイスランドのヴァイキングが発見したとされ、移住・定住が始まった。一度は定住地が消滅したが、18世紀に再び欧米人がキリスト教布教などを目的に定住し、デンマーク・ノルウェイ連合王国領となった。第2次世界大戦中にナチスがデンマークを占領した時には、米国がグリーンランドを保護したことがあった。
大戦後、デンマークに返還されたが、1979年からデンマークの自治領となった。独立した政府を持ち、住民が独立を望めば、デンマーク政府とグリーンランド政府が独立交渉を開始することになっている。
1946年にトルーマン大統領(当時)が1億ドルでグリーンランド購入を打診したことがあったが、デンマークから拒否された。第1次トランプ政権でもグリーンランド購入を検討していたことがあったとも言われている。
●本気度は?購入の目的は?
トランプ氏の発言の背景には、ロシアと中国を意識した安全保障面と、米国の4分の1となる広大な面積の地下に眠る、資源の獲得がある。ロシアに近いグリーンランドは軍事的な要衝であり、米国は1951年よりデンマークとの防衛協定により、基地を展開している。
中国はグリーンランドですでにレアアースの開発を進めている。
レアアースだけでなく、石油・天然ガス、ニッケル、チタンなども埋蔵されているとみられる。
だが陸地の大半が氷床や永久凍土に覆われていることから、開発には多額の資金が必要となり、投資先としての妙味が薄いとの指摘もある。
一説には、トランプ氏が目指す“米国を再び偉大に”の一環として、かつてアイゼンハワー大統領がアラスカやハワイを獲得したように、歴史に名を残したいのではないか、という話もある。
真意はまだまだ不明ではあるが、トランプ氏がグリーンランド獲得に大きな魅力を感じていることは、間違いないだろう。
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