地方紙の報道を行政が「困惑」と否定した「独身税」とは

ZUU online / 2017年9月14日 5時20分

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地方紙の報道を行政が「困惑」と否定した「独身税」とは(写真=PIXTA) ((ZUU online))

石川県かほく市が「独身税」の導入を考えていると北國新聞が報道、本件を否定するお知らせをサイトで公開した。現在も今後も提案するものではないとしている。

同市は「かほく市ママ課の独身税提案報道について」のお知らせで、導入が決まったかのように報道した内容を否定した。また企画情報課は「市や財務省、参加した女性たちから独身税の提案はなく、困惑している」と報道を否定している。

■発言があったことは認めたが独身税提案は否定

きっかけは同市のママ課職員らが参加した8月29日の意見交換会。北陸財務局主催で、子育て中のママがまちづくりに参画するボランティア団体のかほく市ママ課の女性7人と財務省の阿久澤孝主計官(元石川県総務部長)が参加した。

これに対して北國新聞が「かほく市ママ課『独身税』提案 財務省主計官と懇談」との見出しで、ママ課メンバーは「独身税」の創設や医療費削減に関する思いを伝えたと報道したという経緯だ。

同市は否定する中で、ママ課メンバーと阿久澤主計官との意見交換で、そのような趣旨の発言があったことは認めた。しかし、それは質問に対して主計官が答えたやり取りの一部であって、「国に対して独身税を提案するものではなく、今後もその予定はない」としている。さらに市として独身者に特別の負担を提案することもないと述べている 。

この会で、メンバーから「結婚し子育てすると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」という質問があり、阿久澤氏は「たしかに独身税の議論はあるが、進んでいない」と述べたという。

しかし報道後、ネット上では独身税をめぐる議論が沸騰した。「結婚という個人の選択を納税基準にするのは迫害行為」「独身でも生活で苦労している人はいる」「シングルマザーにも課税するのか」などと憤る声が続出した。同市には独身税についての考え方をただす苦情が電話やメールで数多く寄せられた。

報道内容は北國新聞Web版には9月12日現在、掲載されたままで、「独身税提案」「独身税の創設」の表記は変わっていない。

■世界ではブルガリアが少子化対策で一時試して失敗

日本では2004年に、自民党の子育て小委員会で、柴山昌彦衆議院議員が極論ではあるがと前置きして、独身税を考えてみてはどうかとの見解を披露したことがある。

世界では、唯一ブルガリアが1968-1989年に導入したことがある。当時人口900万人を下回るブルガリアは、少子化が進み、対策として5‐10%の独身税を導入したが、結果は思わしくなく中断。事実、2015年に世界銀行が発表した人口はさらに減少して717万人まで減少した。

阿久澤主計官は、国の借金や財政の状況について説明した中で、増税についても検討しなければならないという話はしたことを認めているが、「『独身税』の導入というような話はしていない」と釈明している。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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