拙速な緊縮財政により目先の金利が低いことは長期的な高騰のリスクに

ZUU online / 2017年10月13日 8時50分

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拙速な緊縮財政により目先の金利が低いことは長期的な高騰のリスクに(写真=PIXTA) (ZUU online)

シンカー:将来の高齢化を過度に懸念し、足元の緊縮財政を過度に進め、経済低迷とデフレから早期に脱することができなければ、10年後の金利水準は低いが、投資不足がもたらす生産性の低迷による供給能力の弱さと、所得の縮小による民間貯蓄の不足で、20年後の金利水準は高騰し、財政ファイナンスはかなり不安定になっているだろう。将来の高齢化による民間貯蓄の不足が心配だと、ミクロ・会計の論理で、マクロ動学的な論理を無視して、緊縮財政を過度に推し進め、足元の経済低迷とデフレを放置することは危険である。10年後の金利が低ければ低いほど、20年後の金利はより高騰するということを念頭に財政政策は遂行されるべきだろう。投資の不足を意味する企業貯蓄率がプラスである異常な状態であれば基礎的財政収支が赤字なのは当然であり、2020年度までに強引に黒字を目指す経済的意味はほとんどないばかりか、将来に禍根を残すリスクとなろう。内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」では、団塊世代が後期高齢者となり医療費を含む社会保障費が膨張するとされる2025年度においても、民間貯蓄が過多であることが示されており、2025年度まで基礎的財政収支黒字化のターゲットを延期してもマクロ経済的に問題はない。投資の拡大が生産性の向上につながり始めたことを確認するまで、リフレ政策は維持されるべきで、完全雇用に到達したからこれから緊縮財政が必要だという議論は拙速で危険な発想である。

長期的な日本の長期金利(国債10年金利)の動きを考えてみた。

政府・日銀の2%の物価安定の目標はかなり高いハードルであり、その達成は2020年のオリンピック後になると考えられる。

それまでは政府・日銀のリフレ政策は維持されるため、長期金利は名目GDP成長率を大幅に下回る展開となる。

名目GDP成長率(景気・マーケットが膨張する力)が長期金利(抑制する力)を上回るプラスのスプレッドがリフレの力となり、物価を目標に向けて押し上げることになる。

2020年代初頭に物価目標を達成した後は、金利正常化の局面に入る。

団塊世代が後期高齢者となる10年後あたりまでは、団塊ジュニアの貯蓄積み上げ期でもあり、民間貯蓄はまだ潤沢であろう。

長期金利は緩やかに名目GDP成長率まで上昇していくことになろう。

10年後あたりでは、潜在成長率は現在の+1.0%程度から+1.5%程度まで上昇し、2%の物価上昇率と合わせて、名目GDP成長率は+3.5%程度となり、そこが長期金利の上昇目安となろう。

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