生産緑地の貸借によって変わる都市農業と都市生活―都市農地の貸借円滑化法案の内容と効果

ZUU online / 2018年2月14日 18時20分

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生産緑地の貸借によって変わる都市農業と都市生活―都市農地の貸借円滑化法案の内容と効果(画像=PIXTA) (ZUU online)

■要旨

「都市農地農貸借の円滑化に関する法律案(以下、法案)」が、1月22日を招集日とする今通常国会に提出される予定である。この法案は昨年9月に農林水産省がまとめ、臨時国会に提出予定であった。しかし、解散総選挙により提出が見送られたことから、法案の成立を前提に関連税制が先に決定した経緯がある。ここでは、法案及び税制の内容を確認し、生産緑地の貸借を可能とする今後の都市農業と農地のある都市の暮らしを展望する。

■生産緑地の貸借円滑化法案までの経過

法案第2条の定義において「都市農地」とは、「生産緑地地区の区域内の農地」とあることから、これが、生産緑地の貸借を円滑化するための法律であることが分かる。

生産緑地は生産緑地法に基づき、都市計画で地区が決定される。生産緑地法に示された責務規定や指定要件から、生産緑地地区は、農地としての生産緑地が周辺の生活環境と調和して存在し、かつ将来それを公園などの公共施設として活用した際にも、その効果が十分得られることを見通して指定すると読み取れる。そのため、買取申し出制度(*1)が設けられている。買い取られない生産緑地は、市街化区域にある以上宅地化することが前提になる。

しかしながら、人口減少、高齢化が進行する中、生産緑地地区制度が設けられた当時に比べ、市街化区域内農地への開発圧力は低下している。一方で、都市農業、都市農地を保全すべきとの都市住民の評価がかつてより高まっている。こうしたことを背景に、2015年、都市農業の安定的な継続、都市農業が持つ多様な機能の発揮を通じた良好な市街地形成を理念とする、「都市農業振興基本法」(以下、基本法)が成立した(*2)。

2016年には、基本法に基づき、都市農業振興に関する新たな施策の方向性を示した「都市農業振興基本計画」(以下、基本計画)が策定(*3)され、この考え方を受けて、都市緑地法の一部を改正する法律(生産緑地法一部改正含む)が昨年成立した。改正都市緑地法は、都市緑地政策の中に、都市農地を農地のままに位置づけた。これにより生産緑地は、いずれ公共施設や宅地にするものとの前提が、良好な都市環境の形成ために農地のまま極力保全することに転換したと言える。

このようにして、生産緑地地区の最初の指定から30年を迎え、多くの生産緑地が買取申し出可能になる(30年買取申し出)のを前に、特定生産緑地指定制度(*4)など保全に向けた法制度改正がなされ、昨年末関連税制が決定した(*5)。今回の法案は、都市緑地法等の一部を改正する法律とその関連税制も含めた、一連の都市農業政策、土地利用政策の中で生み出されたものである。

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