後継者不足に悩む経営者が事業承継の対策として取るべき選択肢は?

ZUU online / 2018年3月14日 10時1分

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後継者不足に悩む経営者が事業承継の対策として取るべき選択肢は?(写真=PIXTA) ((ZUU online))

中小企業の経営者が年齢を重ねる中で経営を安定化させるためには、将来にわたって事業を継続させることを念頭に置き、さらに事業承継の方法を常に検討することが重要です。しかし後継者不足に悩む中小企業には、後継者不在のために廃業せざるを得ないという事態も起こり得ます。

そこで今回は、後継者不足に悩む経営者が事業承継の対策としてとるべき方法について紹介します。

■事業承継の後継者不足問題

中小企業・小規模事業者の事業承継問題は、国にとっても大きな問題のひとつとなっています。

経済産業省が2017年10月に発表した「中小企業・小規模事業者の生産性向上について」によれば、今後10年間で70歳を越える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人で、そのうち半分に当たる127万人が後継者未定の状況です。この数は日本企業の全経営者の3割を占めます。

同発表によれば、この状況を放置すると中小企業の廃業が進み、2025年ごろまでに10年間の累計で約650万人の雇用と約2兆円のGDP(国内総生産)が失われる可能性があると推定されています。

また、中小企業庁「2017年版『中小企業白書』」の「第2部 中小企業のライフサイクル」によれば、中小企業が廃業を予定している理由として最も多いのが「業績が厳しい」の37.3%でしたが、2番目が「後継者を確保できない」の33.3%でした。これほどの中小企業で後継者不足が廃業の原因となっているのです。しかし、後継者不足の中小企業には、廃業しか選択肢がないわけではありません。

■中小企業経営者がとるべき選択肢

後継者不足の中小企業経営者の選択肢には、どのようなものがあるのかを確認しておきましょう。それぞれの場合に分けて説明します。

●配偶者や子どもを後継者にする

配偶者や子どもを後継者にできるのであれば、それは中小企業にとって最も円滑な事業承継の方法です。かなり早い段階から後継者を事業に参加させれば社内外から認知されやすく、後継者にとっても事業を引き継ぐ準備を整えやすくなります。

また、子どもに経営権を引き継ぐのは、経営者と会社の所有者が分離することを避けやすい形態でもあります。

●経営者の兄弟姉妹を経営者にする

経営者に子どもがない場合は、経営者の兄弟に承継することもできます。ただ、実子が幼い場合や、学業や就業中で事業承継できず、一時的に兄弟姉妹に承継した場合は、後に実の子に事業が承継されないなどのトラブルが発生する可能性があります。

●社内から後継者を選ぶ

子どもや親族に会社を引き継げない場合に、優秀な幹部やベテラン社員を後継者に立てることがあります。このような後継者は事業内容を熟知しているため、経営能力があれば事業の継続が円滑に進みます。

一方で、退職するオーナー社長から株式を買い取り、金融機関からの借入金の個人保証を引き継ぐための資金や資産が必要で、引き継ぎに伴う手続きも煩雑になりがちです。

●社外から後継者を招へいする

融資元の金融機関や取引先から後継者を招く場合も考えられます。この形態の大きなメリットは、これまでの社内にしがらみがないため、新しい経営者が経営不振から脱するための大胆な改革に取り組みやすいことです。

一方で、負の遺産とも言うべき連帯保証の付いた借入金を引き継がなければなりません。中小企業が社外から後継者を招へいすることには困難も伴います。

●事業を売却する

事業を売却する形態は、後継者不在でも雇用や事業の継続が維持できるため、後継者不足の中小企業の事業承継で現在最も注目されている形態と言えます。買収する側の企業の規模が拡大している場合などでは、福利厚生や給与体系、人事評価制度がより良くなり、従業員にメリットが発生することがあります。

また、M&Aで企業を清算すると、オーナー社長の手元に残る金額が一般的に多めになるのもメリットです。

●廃業する

残念ながらやむなく廃業する場合は、多方面に負の影響が残ります。債務の整理、従業員の解雇、顧客への商品やサービス提供の停止、技術やノウハウの消滅などです。

また、資産を売却して借り入れを精算しようとしても、簿価上の金額と現在価値が大きく異なり、資産の売却が思うように進まないこともあります。借り入れを全て返済できないことがあります。廃業の道を選ぶ前に、前述した事業の売却によって、会社の資産を引き継ぐことを考えてもいいでしょう。

■事業承継はあなたの思いを後継者に引継ぐこと

事業承継では有形無形、さまざまな資産が承継されます。創業者と会社を引継いだ新しい経営者が会社への思いを引継いでいくことが理想です。今回挙げた内容はあくまでも基本的な内容です。詳細は金融機関などの専門家に相談しましょう。

有形無形の資産や思いを残すためにも、「後継者不足だから」といって安易に廃業するのではなく、いくつもの事業承継の選択肢があることを忘れないようにしてください。(提供:企業オーナーonline)

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