紙の書類もハンコも不要。同じ書類を何度も書かされない国【書評】

ZUU online / 2019年2月2日 13時30分

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紙の書類もハンコも不要。同じ書類を何度も書かされない国【書評】(画像=Webサイトより)

転職や引っ越しの時など、同じような書類を会社や役所で何度も書かされたり状況を説明させられたりする。「それ、もう言った」「これさっきも同じこと書いたな」と辟易した経験は誰にでもあるだろう。入力がパソコンやタブレットでいいならコピペできるかもしれないが、手書きだといちいち同じことを何度も書かなければいけない。そんな面倒がない(かもしれない)国がある。それは「エストニア」だ。

■e-レジデンシーで市民になれる? 紙の書類やハンコの要らない国

エストニアと聞いて、どこにあるどんな国かイメージできる人はそう多くないだろう。エストニアは、バルト海とフィンランド湾に接する北欧の共和国で、バルト三国の中で最も北に位置する。国境は南はラトビア、東はロシアと接し、面積は九州の1.2倍程度(日本の9分の1)、人口は約132万人。一人当たり名目GDPは1万9,840ドル、実質経済成長率は 4.9%(ともに2017年。IMF)という。

エストニアは、暗号通貨やスタートアップ、テクノロジーが好きな層には、「skypeを生んだ国」として、「e-レジデンシーが取れる国」として知られている。

e-レジデンシー(電子居住権)はその名から推察できるとおり、バーチャルな市民になれる権利。実際の居住権や選挙権は得られないが、銀行口座を作ったり会社を設立したりできる。かかる費用は100ユーロ程度。、もちろん日本にいながらもネットで(カードを受け取るためにエストニア大使館に行く必要はあるが)申し込める。

何がメリットかというと、エストニアはEU加盟国だから、現地に行かずにネットで、しかも数十分でEUに会社が作れることだ(ただ開設できる銀行口座は使い物にならないといった指摘がある)。納税や確定申告のような作業もこのe-レジデンシーでできる。公的文書の電子署名にも対応しており、役所に行って書類に印鑑をついたり、原本を郵送したりする必要がない。

エストニアは情報公開法で、同じデータを集める目的で複数のデータを構築することを禁じているという。電子政府制度の運用において原則としているのも「透明性」と「Once Only」(一度きり)。政府は同じデータを求めるために2度同じことを聞かない。だから紙の書類を手書きで埋めたり、同じ書類に何度も入力したりする必要はないはずだ。

こうしたエストニアの状況についてよくまとめられているのが、紹介する『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけたつまらくない未来』(小島健志著、孫泰蔵監修、ダイヤモンド社)だ。しっかりと現地で取材されており、巻末にはエストニアのカリユライド大統領のインタビューまで掲載されている。

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