求められる氷河期世代の救済-経済格差は家族形成格差、高齢期の貧困・孤立問題を生む

ZUU online / 2019年7月2日 19時45分

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求められる氷河期世代の救済-経済格差は家族形成格差、高齢期の貧困・孤立問題を生む(画像=PIXTA)

■要旨

  • 今年の「骨太の方針」では「就職氷河期世代の支援」に焦点が当てられている。現在の30代半ばから40代半ばの就職氷河期世代は世代間・のみならず同世代内の経済格差に苦しんでいる。経済格差は家族形成格差にもつながる。また、厳しい経済状況のまま中年期を迎えた就職氷河期世代は貧困高齢者予備軍となりつつある。
  • アベノミクスによる企業業績の改善で採用活動が積極化した若い年代や、「高年齢者雇用安定法」の効果もある高齢者の雇用環境は改善している。しかし、就職氷河期世代を中心とした中間年齢層では、他世代ほど非正規雇用者率や失業率が改善しておらず、アベノミクスの恩恵を受けていない様子がうかがえる。
  • 景気低迷期に就職活動期を迎えた就職氷河期世代では非正規雇用者率が高い。雇用形態による年収差は年齢とともにひらき、特に男性で顕著だ。また、学歴が必ずしも経済格差を是正するわけではない。就職氷河期世代では正規雇用者でも安泰というわけではなく、10年前と比べて30~40代で賃金カーブが平坦化している。
  • 30歳前後の男性の年収と既婚率は比例する。各年代の既婚率の平均値は年収300万円付近に位置し、結婚には「300万円の壁」の存在がうかがえる。非正規雇用男性の平均年収は300万円に届きにくいため、経済格差は家族形成格差につながる。
  • 親から経済的に独立できないまま中年期を迎える者が増えている。生活保護受給世帯は増加傾向にあり、うち半数が高齢世帯である。親の死亡等で親の年金をあてにできなくなった年金パラサイトは生活保護に直結しやすい。また、親が生活保護となれば、独立できずに同居する中年の子も同時に生活保護受給へ移行することになる。また、高齢期の貧困は、近年、社会問題化している孤立死にもつながる。
  • 経済格差は家族形成格差に、中年期の貧困は高齢期の貧困に直結する。就職氷河期世代は既に中年期を迎えており、政策として負の連鎖を断ち切るべきだ。新卒採用の通年採用化や中途採用の拡大などが進めば、就職や家族形成時期の柔軟性が増すとともに、上手くいかない時期があっても再チャレンジ可能な社会ともなるだろう。世代によらず、将来に対して明るい見通しを持てるような労働環境の整備が求められる。

■はじめに~今年の「骨太の方針」の焦点は就職氷河期世代

今年の政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、「就職氷河期世代の支援」に焦点が当てられている。就職氷河期世代とは、バブル崩壊後から2000年代初頭に学校を卒業して就職をした世代を指す。現在の30代半ばから40代半ばを中心とした層で、約1,700万人存在する(1)。この世代では、就職活動期の雇用環境が厳しかったために、希望通りの職に就けずに、非正規雇用などの不安定な仕事に就いている者や無職である者も少なくない。35~44歳の雇用形態等の内訳を見ると、正規雇用者が半数程度、非正規雇用者が2割、非労働力人口が1割程度だ。非正規雇用者のうち、正規雇用を希望しているが不本意ながら非正規にとどまる者は50万人、非労働力人口のうち、家事も通学もしていない無業者は40万人存在する。政府はこのおよそ100万人を「社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者」と見て、支援を進める方針だ。

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