平成期の社会保障改革を振り返る-少子高齢化と財政悪化が進んだ30年間の変化を追う

ZUU online / 2019年7月10日 20時30分

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平成期の社会保障改革を振り返る-少子高齢化と財政悪化が進んだ30年間の変化を追う(画像=PIXTA)

■はじめに~平成という時代を社会保障で振り返る~

今年5月から新元号「令和」がスタートし、約30年に及ぶ「平成」の時代が終わった。本稿は1989年(平成元年)1月に始まった「平成」の約30年を社会保障という切り口で振り返る。

具体的には、少子化の進展や高齢者人口の増加といった人口動態を振り返った上で、GDPの伸びを上回って年金、医療、介護などの社会保障費が増加したことを取り上げる。さらに、国の財政事情が悪化したことで社会保障制度の制約条件が増した点、その対策として消費税を社会保障に充てる考えが浮上した経緯や制度改正の動向、給付削減が図られた医療や年金における制度改正の経緯、高齢者福祉や子ども・子育て支援など新しい課題に対応した点などを考察する。その上で、こうした改革を進める際、首相官邸による主導性が強まった点なども振り返ることで、約30年間の変化を追う。

※本稿は2018年12月25日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。

■人口の変動

●高齢化率の上昇

まず、平成期の人口変動を考える。2008年(平成20年)を境に人口減少局面に入ったが、総人口は僅かながら増加した。具体的には、1989年(平成元年)時点で1億2,320万5,000人だったのに対し、2017年(平成29年)時点で1億2,670万6,000人となり、300万人ほど増えた。

一方、65歳以上の高齢化率は平成の間、一貫して増加しており、1989年(平成元年)では11.6%だったが、2017年(平成29年)時点では27.7%までに伸びた。この理由の第1に、平均寿命の延伸が挙げられる。厚生労働省の「簡易生命表」によると、1989年(平成元年)の時点で男性75.91歳、女性81.77歳だった平均寿命は最新の2017年(平成29年)時点で男性81.09歳、女性87.26歳まで伸びた。この結果、同じ期間の65歳以上人口は1,430万9,000人から3,515万2,000人となり、約2.5倍に増えた。

しかし、人口の高齢化が進んだのは高齢者人口の増加や平均寿命の延伸だけが原因ではない。むしろ、少子化の方が平成という時代を特徴付ける事象と言えるかもしれない。以下、その動向を見ることとする。

●少子化の定着――「1.57ショック」で始まった平成

「出生数の減少は、我が国の将来にさまざまな問題を投げかけております。若い人々の子供を持つ意欲を積極的に支えていくことに日本の未来をかけて努力していかなければなりません。子供は世の宝であります。この宝を守り、健やかにたくましく育てていくことこそは、何にも増して大切な仕事であります。私は、これらのことを肝に銘じて、効果的な環境づくりを積極的に進めてまいります」――。これは1990年(平成2年)3月の衆院本会議における海部俊樹首相(肩書は当時、以下は全て同じ)の施政方針演説の一節である(1)。

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